大手3社、軒並み赤字に転落
運賃競争はばら積み船に限らず、あらゆる船に及んでおり、向こう2年先までは好転する兆しがないとの見方が強い。各社の収益は圧迫され、日本郵船、商船三井、川崎汽船と国内大手3社は2012年3月期の連結営業損益で軒並み赤字に転落した。
そんな厳しい業績に苦しむ中、カルテル疑惑が生じたのは、各社にとっては最悪のタイミングといえる。自動車運搬船は技術的に日本が世界をリードし、特殊な船舶を使うことから低価格競争にも陥りにくい分野だ。日本勢にとっては唯一、安定的な収益を上げられる事業といえる。昨年の東日本大震災直後には一時大きく低迷したが、昨秋以降は回復し、各社の業績を支えるはずだった。
「カルテル疑惑がもたれないよう、各社とも十分に対応していたはずで、なぜこの時期に公取の検査が入ったのか疑問」(業界関係者)との声も上がっている。そして、日本の公取にとどまらず、米司法当局や欧州連合(EU)の欧州委員会も調査に入ったとされている。日米欧を舞台とした国際カルテル事件に発展する可能性も出ており、業界は今後の行方を注視するしかない状況だ。