中国人観光客の海外旅行先でのマナーをめぐるフランスのホテルの対応に、中国のネット住民が怒っている。フランスの高級ファッションブランド創業者が、新たにオープンするホテルについて「中国人観光客はお断り」などと述べたためだ。
問題の発言は後に修正されたが批判は収まらず、ホテル側は「発言は舌足らずだった」などと釈明に追われることになった。
「お客様は選びたい。例えば中国人観光客に開かれることはないだろう」
問題となっているのは、「ザディグ・エ・ヴォルテール」(Zadig et Voltaire)の創業者、ティエリ・ギリエ氏の発言。同ブランドは、2014年にパリに高級ホテルをオープンする予定で、同氏は12年9月下旬、有名ファッション誌「ウィミンズ・ウェア・デイリー」(WWD)のインタビューで、
「新しいホテルはプライベートホテルのようなもので、誰にでもオープンなわけではない。(規模は)40部屋程度だろう。お客様は選びたい。例えば中国人観光客に開かれることはないだろう。パリには多くの需要があり、多くの人が特定のプライバシーが守られる静かな環境を望んでいる」
と発言した。中国人の騒々しさを敬遠したともとれることから、直後からネット上では批判が噴出。ギリエ氏側も批判に気づき、「中国人観光客」という表現を「たくさんのバスでやってくる観光客」に改めたが、すでに「後の祭り」だった。
中国のポータルサイトやミニブログでは、
「明らかな人種差別だ」
という声はもちろん、
「この傲慢なブランドは、重要なマーケットを失うことになるだろう」
という声も。中には、
「私もすべての中国人も、このブランドを歓迎しない。ここで買い物するのもやめる」
と、事実上の不買運動を呼びかけるファッション関連の有名ブロガーもいた。
「私の考え方や理念を反映したものではない」と釈明
これを受け、10月4日にギリエ氏は声明を発表し、
「伝えられている言葉は、私の考え方や理念を反映したものではない」
と釈明した上で、
「発言は明らかに舌足らずで、文脈から外れた形で、中国やフランス、その他の地域の友人を傷つけてしまったかもしれないと理解している。そのことについては非常に申し訳ない」
などと陳謝した。なお、声明によると、問題とされた発言では、
「新しいホテルが大衆向けでないことを、不適切な方法で表現した」
とも釈明している。
フランス政府の統計によると、11年にフランスを訪れた中国人観光客は前年比23.9%増の110万人。中国人観光客が現地で消費する金額も急増していることから、ホテル側も対応を迫られたとみられる。