環境省がニホンウナギをレッドリストの「絶滅危惧類」に指定する方針を固めた、と中日新聞などが2012年9月13日に報じた。ただでさえ高値のウナギが、「さらに高くなるのでは」「食べられなくなるのかな…」などと影響を懸念する声が広がっている。
「絶滅危惧」指定でも捕獲制限なし
環境省版レッドリストは、日本に生息または生育する野生生物について、生物学的観点から個々の種の絶滅の危険度を科学的・客観的に評価し、リストにまとめたもの。1991年に初めて策定、現在、第4次の見直し作業中だ。
漁獲量が減少しているニホンウナギは、このリストの中の「絶滅危惧II類」に、新たに指定されるのではないかと報じられている。「過去10年間もしくは3世代のどちらか長い期間を通じて30%以上の減少があったと推定され、その原因がなくなっていない」などが要件となる。魚類ではシロウオやメダカ(固有種)といった種がすでに指定されている。
「絶滅危惧II類」は絶滅危惧種の区分ではもっとも絶滅の危険度が低く、指定は「一般への理解を広めるため」で、捕獲や取引が制限されるわけではない。
環境省の担当者に話を聞くと「ニホンウナギが絶滅危惧種に指定されるかはお答えできない」とのことだが、ネットではこの報道を受けて、
「食うだけ食って増やそうという努力をしないからだろ 」
「ここで保護しないとヤバイ」
などと保護を求める声も見られた。
「資源保護活動が活発化するのは歓迎する」
実際に自主的な漁獲調整などで漁獲量が減った場合、養殖業者の一部ではシラスウナギの仕入れ値のさらなる高騰を懸念する向きもある。日本養鰻漁業協同組合連合会(日鰻連)ではレッドリストに載った場合の影響は「まだわからない」が、「(すでに実施中の放流などの)資源保護活動が活発化するのは歓迎する」と話す。
水産庁では、これまで環境省版レッドリストを受けて施策を講じたことはなく、ウナギについても同庁が6月に発表した、養殖業者向け支援や資源管理・保護等を柱とする「ウナギ緊急対策」を進めていくとしている。
水産庁によると、ウナギの原料となるシラスウナギはここ3年不漁が続き、国内での捕獲量は2009年に20トン台前半だったのが2012年には1桁台にまで落ちこんだ。こうした状況に安定したウナギの供給を求める声は強く、「載るにしても載らないにしても保護が必要」(日鰻連)ということのようだ。