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   金価格が再び高騰している。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物相場は2012年10月4日、前日から続伸して、取引の中心である12月物が前日比16.70ドル高の1トロイオンス1796.5ドルで取引を終えた。

   この日は一時、1797.7ドルまで上昇して年初来高値を更新。中心限月として11年11月9日以来、約11か月ぶりの高値を付けた。日本では円高のせいもあって高騰とまではいかないが、購入者層にちょっとした異変が起きている。

ユーロ急伸。ドル安が「金買い」につながる

   2011年9月に1トロイオンス1923.70ドルの史上最高値を付けてから1年ほど、1600~1700ドル台で落ち着いていた金相場が再び動き始めた。

   金融・貴金属アナリストの亀井幸一郎氏は、10月4日の金価格の上昇について、「いくつかの要素が複合して起こったもの」とし、こう説明する。

   背景には、中東情勢(シリアとトルコ)の緊張の高まりによる原油価格の上昇があったこと。さらに南アフリカのプラチナ鉱山で始まったストライキをきっかけとしたプラチナの供給減による価格上昇に、金がつられたことがある。

   そこに欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が定例理事会後の記者会見で、南欧の国債買い取りを開始する準備が整っていることを強調したため、為替市場ではユーロが急伸。節目となる1ユーロ1.30ドル台を回復したことで、ドルの代替資産として逆の動きをしやすい金の「買い」につながった。

   一方、日本国内の金相場は「ドル円」の為替相場の影響を受ける。そのため、ドル建ての金相場が史上最高値を更新しても、日本国内の金価格は円高で相殺され、上昇は比較的緩やかだ。

   田中貴金属工業によると、12年9月(平均)のロンドン市場の金価格は1トロイオンス1743.19ドルで、この5年に2.5倍も上昇した。これに対して国内価格は、12年9月平均で1グラムあたり4403円と、5年前と比べて1.7倍の上昇にとどまっている。

   国内投資家は「金価格がなかなか上がらない」と感じるかもしれないが、亀井氏は「米国の財政はリーマン・ショック後の4年間で、それこそ坂道を転がり落ちるように悪化しています。それ(大規模な金融緩和)が結果的に金価格の押し上げにもつながっています。11月の大統領選後も連邦債務の上限問題など、問題は山積しており、年末・年始に向けて(金価格は)円建てでもまだ上がるでしょう」とみている。

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