日銀の憂鬱な秋 強まる政界圧力に「打つ手」もなく…

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議論なき「日銀の外債購入」は政治の怠慢

   とはいえ、景気刺激効果は限定的というのが常識だ。追加緩和の「サプライズ効果」も、その翌週(9月24日の週)には剥げ落ちた。

   長期に及ぶ金融緩和による金余りで金利水準は限りなくゼロに近い。これ以上の引き下げ余地は少なく、日銀の買い取り基金が国債を買おうとしても、予定額に達しない「札割れ」が相次ぐ。「各国の金融緩和競争の中で後れを取って円高にならないようにするのが目的」(市場筋)というのが実態だろう。

   だから、白川総裁も「成長力強化のためのさまざまな規制緩和の取り組みも必要」と、日銀への過剰な期待に必死に予防線を張る。しかし、政界からは日銀への圧力ばかりが聞こえてくる。

   自民党の「日本経済再生プラン」は「政府・日銀の更なる連携強化を図り、金融緩和の実効性を高めるため政府・日銀の物価目標(2%程度)協定の締結、日銀による外債購入など、日銀法の改正を視野に大胆な金融緩和措置を講じます」という。

   民主党も「議論のためのたたき台」で「政府・日銀間でのアコード(協定)」を結んで「円高・デフレ脱却」政策を進めるといい、こちらも「日銀による外債購入など」を掲げる。両党とも日銀法の改正が含みだ。 さすがに総選挙を控えたドサクサでの、生煮えの議論の横行を戒める声がマスコミから起こっている。

   9月21日付の毎日新聞朝刊はズバリ、「中央銀行依存は危険だ」との社説を掲載。「より根源的な問題は、国内の働く世代の数が減り、経済成長の基礎体力が落ちているというのに、政府や国会で、真剣な政策論議がほとんどなされていないことだ。……4月に成立していなければならない特例公債法案が未成立で、このままでは経済への悪影響が懸念される」と、政治の怠慢を指摘。同日付の朝日新聞の社説も「日米欧とも政治が有効な手を打てず、しわ寄せがすべて中央銀行に向かう構図は異様だ」と嘆いている。

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