買収でソフトバンクさらに「プラチナバンド」 こうした周波数帯獲得方法に問題ないのか

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   ソフトバンクがイー・アクセスの買収を発表した。発売間もない米アップルの「アイフォーン(iPhone)5」が、両社それぞれの周波数帯で使えるようになるため利便性が増すという。

   ソフトバンクは2012年2月、悲願だった「プラチナバンド」と呼ばれる900メガヘルツ(MHz)の周波数帯を獲得した。その後イー・アクセスも700MHzを割り当てられており、経営統合でソフトバンクは700MHzも使えるようになる。周波数帯割り当てを巡ってすったもんだがあっただけに、この入手方法に首をかしげる識者が出てきた。

「欧米では一つの免許を返却するのが普通」

iPhone5(写真右)が2つの周波数帯で使えるように
iPhone5(写真右)が2つの周波数帯で使えるように

   2012年9月21日に発売されたiPhone5は、通信速度の速い「LTE」の利用が可能だ。ソフトバンクはiPhone5に向けて、同社が持つ2.1ギガヘルツ(GHz)の周波数帯を当ててきた。今回の買収で、イー・アクセスの1.7GHz帯でもLTEサービスを提供するようになる。

   LTEが普及すればデータ通信が増え、回線のひっ迫が懸念される。加えて、iPhone5を介してパソコンなど他の端末からインターネットに接続する「テザリング」も、当初発表を翻してサービス解禁を宣言した。

   ネットワーク強化のため、ソフトバンクはどうしても帯域の追加が必要だった。10月1日に開かれた会見で孫正義社長は、「テザリング実施を決めた瞬間、イー・アクセスとの統合に腹をくくった」と、急転直下の買収決定だったことを強調した。「au(KDDI)は2.1GHzだけだが、ソフトバンクはイー・アクセスと組んで2.1GHzと1.7GHzの両方が使える」。孫社長はiPhone5をめぐってライバル関係にあるKDDIより優位に立ったとばかりに胸を張る。

   実はソフトバンクが「手に入れた」周波数帯は、ほかにもある。総務省が2012年6月27日にイー・アクセスに割り当てた700MHz帯だ。ソフトバンクが持つ900MHzと同じく「プラチナバンド」と呼ばれる。遠方まで電波が届き、障害物を回り込んで伝わるため、通信事業者にとってはのどから手が出るほど欲しい。買収によって、プラチナバンドを2つ使えることになったのだ。

   このことに、経済学者の池田信夫氏が異を唱えた。10月2日付のブログで、こうした場合は「欧米では一つの免許を返却するのが普通だ」としたのだ。

   池田氏が根拠としたのは2000年、英ボーダフォン(当時はボーダフォン・エアタッチ)が独マンネスマンを買収したケースだ。両社とも通信大手で、しかもボーダフォンが敵対的買収を仕掛けて話題になった。この前年、マンネスマンは英通信会社「オレンジ」を買収していた。マンネスマンを飲み込んだボーダフォンは自動的に、英国で別会社の通信事業までも手に入れたことになる。ところがこれが、欧州連合(EU)における通信事業規制に抵触してしまったのだ。結局ボーダフォンは、オレンジをフランステレコムに売却し、事なきを得た。

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