「南海トラフ」で地価下落 鎌倉から高知まで「津波リスク」直撃

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太平洋沿岸部に影響

   一方、今回の基準地価では、東日本大震災後、自治体が東海・東南海・南海地震など「南海トラフ」で起きる地震の津波想定を改めて公表した地域では、地価の下落が目立った。

   神奈川県の全調査地点で最も下落率が大きかったのは、鎌倉市長谷の住宅地で前年比4.3%下がった。鎌倉を代表する観光地・由比ガ浜から数百メートルという市内の中心部だ。下落の原因は、震災後に見直された津波の被害想定だ。県は過去に周辺で起きた地震のデータから、由比ガ浜で最大14.5メートルの津波が起きると予測した。地元の不動産関係者は「もともと市内の地価は下落傾向にあったが、津波の想定見直しで、下落幅が広がったのだろう」と語る。

   三重県の住宅地で下落率が県内最大だった尾鷲市は、政府が3月に公表した南海トラフ地震で最大24.5メートルの津波が到来すると発表した地点に当たる。沿岸部の同市三木里町の下落率は6.3%だった。

   高知県は全国の住宅地の下落率ワースト5のうち、3地点を占めた。地元の不動産関係者によると、「高知県内は高知市でも人口減少などで地価が下落していたが、津波想定の見直しが沿岸部の地価下落に大きく影響した」という。

   津波による地価下落を防ぐ手立てはあるのか。あるシンクタンクは「自治体が避難場所や防災施設を設置することで、地価下落を食い止めることができるのではないか」と指摘するが、なかなか妙案はないのが現実だ。

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