テレビ局と出版社の脆弱さが露呈している証拠との意見も
それではなぜ信長がこんなにもてはやされ、しかも女性なのはなぜなのだろうか。業界事情に詳しい総合出版社の編集長に話を聞いてみると、出版界では特に、政治が混迷している時代には「武将に学べ」といったお決まりの出版が相次ぐ。今回も同じパターンだが、信長は特に混乱した戦国の世の中で突如頭角を現し、「天才か狂人か?」などという評価されながら、数々の奇策と先見性で天下統一にまい進した。それが今の時代の変革を求める空気にぴったりだと説明する。
ただし、信長を女性にしたことについては
「奇抜なことをして気を引こうという思惑が透け透けで、つまりは、出版にしても、ドラマにしても、安易に設定を決めたようにしか見えないし、行き詰っている証拠です」
と手厳しい。
つまり、数年前にゲーム、アニメで「戦国BASARA」ブームがあり、登場する戦国武将をイケメン揃いにして大ヒットしたが、単純にそれの「女性版」を狙ったもという意図が見え見えだというのだ。
「武将のイケメンは分かりやすいが、武将が美少女というのは企画段階から変です」
天海さんの「女信長」は、おそらく天海さんの主役起用が先に決まっていて、それに原作を当てはめたのだろう、と推測している。
「年末の大作ドラマなら王道の戦国物か、ジャンヌダルクのようなものを制作すればいい。それができないほどテレビ局や出版社の力が弱まっている証拠なんです。初めは奇をてらった展開で注目を浴びても、結局は低視聴率になるんではないですか」
そう、この編集長は話している。