中国「反日」が日本企業を苦しめる トヨタ、日産など現地工場の休業拡大

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   「愛国」の看板を掲げる中国がジワジワと日本企業のクビを締め付けている。尖閣問題をめぐる日中関係の悪化による日本製品の不買運動が広がるっているなかで、トヨタ自動車など自動車大手は工場の休業を余儀なくされている。

   自動車大手には「中国の消費者が日本車を敬遠する動きはしばらく続く」との見方もあり、減産が長期化する懸念がある。

自動車大手、休業で在庫調整

   尖閣諸島(沖縄県)の国有化による反日感情の高まりで、中国市場での新車販売が落ち込んでいることを受けて、トヨタ自動車は2012年9月26日から天津市にある天津一汽トヨタと、広東省で「カムリ」などを生産する広汽トヨタの工場の生産を止めた。

   当初は9月30日から10月7日の国慶節(建国記念日)までを休業とする予定だったが、中国での受注や販売の状況を踏まえ、休業を前倒して在庫を調整する。

   四川省にある四川一汽トヨタの工場(成都市と長春市)は9月29日から10月7日まで休業。「10月8日以降は、すべての工場で通常どおり稼働する」(トヨタ広報部)としている。再稼働後の減産も、「今のところ、その予定はありません」という。

   2011年に、中国でトヨタは80万1736台を生産している。

   また、トヨタ自動車九州などで生産しているレクサスなどの完成車の中国への輸出については、「需給に応じて調整しています」とし、輸出の一部を見合わせている。

   日産自動車は、東風日産乗用車(広東省)の花都工場など3工場を、当初の予定から3日間前倒しして9月27日から10月7日まで休業する。具体的な減産台数などは明らかにしておらず、「10月8日から通常どおり稼働する」としている。

   ホンダの広汽ホンダ(広東省)は、9月18~20日まで工場の稼働を停止したが、現在は稼働を再開している。ホンダは「通常のスケジュール(9月30~10月7日)以外の休業は予定していません。デリバリー調整は今のところ3日間の休業で済んでいますし、今後の稼働についてはこのような(デモや不買運動が起こっている)状況なので販売店などのようすを見ながら決めていくことになります」(広報部)と話している。

   中国の自動車市場は2009年に米国を抜いて世界最大の市場になった。米ゼネラル・モーターズやフォード・モーター、独フォルクス・ワーゲンなどが中国での生産体制を強化、各社が激しいシェア争いを繰り広げているときだけに、不買運動による工場の休業が長期化すれば日本車のシェアは低下し、収益への影響も避けられない。

   日本車は「メイド・イン・ジャパン」の象徴として暴動でもターゲットになっており、そのあたりも影響しそうだ。

中国消費者の8割が不買運動に賛成

   上海サーチナが行った中国でのインターネット調査(2012年9月14~18日に実施、有効回答数は男性1500人、女性1500人)によると、日本が尖閣諸島を国有化したことを機に、中国で日本製品不買運動が起きたら、中国の5割近くの消費者が「不買運動に賛成する」と回答し、「ある程度賛成」とあわせて約8割が「賛成」していることがわかった。

   この数字をみると、中国での不買運動はかなり深刻な状況にあると考えられる。

   また、広東省では「愛国」を掲げる中国人従業員らが職務を放棄して、工場が操業停止に陥るなどの混乱が起きた。深セン市の富士フイルムやブラザー工業、東芝テックの工場では、従業員らが「釣魚島(中国名)を返せ」「日本製品をボイコットしろ」と叫びながら行進。キヤノンの広東省中山市と珠海市の工場でも従業員の一部が騒ぎを起こしたため、操業を止めた。

   現在は沈静化したというが、中国人従業員の一部には尖閣問題に便乗して賃上げを要求する者も現れたというから、日本企業への「不満」が一気に噴き出しているようで、影響は根深い。

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