韓国がホスト国となり日米豪韓の4カ国による大量破壊兵器拡散防止構想(PSI)訓練が2012年9月26日、27日の両日行われるが、日本の自衛艦の釜山港への寄港を韓国が拒否した、という報道があった。
日本は「ホスト国として極めて非礼だ」と韓国に強く抗議したが、韓国は応じず、アメリカの仲裁もあって日本は海上のみの訓練参加になったとしている。ただし防衛省は「初めから寄港の予定は無かった」と否定している。
2年前の訓練では自衛艦は釜山に上陸していた
産経新聞が2012年9月25日に報じた記事によれば、PSI訓練は9月26日と27日に行われるが、直前になって韓国側から突然、釜山港への寄港を断ってきたのだという。海上自衛隊は護衛艦1隻とP3C哨戒機1機などで参加する計画だった。
日本側は「非礼だ」と強く抗議したが、韓国側が譲らなかったため、一時は日本不参加の可能性もあったと書いている。実は2010年に同様の訓練が行われていて、このとき自衛艦は寄港していた。
この報道が事実とすれば、竹島問題を巡る反日感情の高まりが影響しているのは間違いないが、とりわけ自衛艦が掲げる「旭日旗」が問題だったのでは、という推測も出ている。韓国側はロンドン五輪では帝国主義の象徴であるとして、旭日旗を使用することを禁じるよう求めていた。
産経新聞は、
「旭日旗を艦旗にした自衛艦の寄港に過剰に敏感になったのでは」
という識者のコメントを掲載している。
このニュースはネットで大きな話題となり、
「だから韓国と関わるなと言ったじゃないか」
「もともと敵国日本の自衛艦を寄港させるわけがない」
などと騒然となって、掲示板「2ちゃんねる」では韓国批判の「祭り」に発展した。
一方、森本敏防衛大臣は25日午前の記者会見で、自衛艦が韓国への寄港を拒否された事実は聞いていないし、韓国の領海に入ったり、寄港するという計画はもともと無かったもので、新聞記事は事実に反する、と否定した。
これ以上日韓関係を悪くしたくない、という気遣い?
ただ、今回の訓練について韓国の有力紙の朝鮮日報と中央日報は、12年9月18日付けの日本語電子版で、
「日本の海上自衛隊の駆逐艦や、海上哨戒機は公海上で待機し、訓練に参加する。独島問題をめぐる韓国内の反日感情を意識し、海上デモなどが起こる可能性を懸念して釜山港に入港しないとみられる」
と報じていた。また朝鮮日報は25日付けで今回の産経新聞の記事を紹介し、18日に行われたシンウォンシク国防部政策企画官の会見では、
「日本の自衛艦の入港拒否をするかどうかは言及しなかった」
と書いている。
軍事と国防に詳しい日本のジャーナリストは、
「日本だけ釜山に上陸せずに、洋上のみで訓練に参加する、というのは苦肉の策だったのだろう」
と説明する。
「『韓国から拒否は無い』と発言したのも、これ以上日韓関係を悪くしたくない、という気遣いからではないかと思います」