大阪市の橋下徹市長の発言が、また韓国で批判にさらされている。竹島(韓国名・独島)をすでに韓国が実効支配しており、武力で覆すことが現実的でないことなどを理由に、「共同管理」に持ち込むべきだと訴えたのだ。韓国メディアからは、この発言に対しても「妄言」との指摘が出ている。
「実効支配という事実を武力で変える事は無理」
橋下市長の発言が出たのは、2012年9月23日に行われた公開討論会。領土紛争について問われた橋下市長は、
「1952年に李承晩ラインを引かれて、拿捕をやって、漁民も三千何百人抑留された。武力衝突もあって、そういう歴史を僕らは習っていない」
と、竹島の韓国による実効支配が武力行使によって始まったことを指摘。その上で、
「実効支配という事実を武力で変える事は無理」
「国際司法裁判所(ICJ)に訴えて、どうやって共同管理に持ち込むかという路線にかじを切るべきだ」
などと述べた。これは、「竹島は日本固有の領土」だとする従来の政府見解から転換するもので、「これまでの日本側の主張を1歩後退させ、韓国側に譲歩した」との解釈もできそうだ。
大阪人権博物館への補助金打ち切り方針にも言及
だが、韓国メディアの反応は、総じて辛らつだ。
例えば毎日経済新聞は、
「『妄言製造機』で有名な橋下徹大阪市長がまた独島妄言をした」
との書き出しで発言を伝えており、朝鮮日報の橋下市長に対する「枕詞」は、
「日本の次世代リーダーに選ばれながら、相次ぐ妄言で非難の声が上がっている極右志向の橋下徹大阪市長」
と、さらに厳しい。同紙は、「日本維新の会」のロゴマークの地図の中に竹島と尖閣諸島が含まれていることや、大阪人権博物館への補助金打ち切りを表明していることを指摘。この記事では、大阪人権博物館を「在日韓国人差別関連資料などを展示した総合人権博物館」と位置づけていることもあって、
「橋下市長は日本が第二次世界大戦中に犯した蛮行を認めていないことで悪名が高い」
とも批判している。また、中央日報は、
「日本政府の従来の立場から大きく後退したものだ」
と論評している。
新聞と比べると、放送メディアは総じて抑え気味だ。公共放送のKBSや民放のMBCは、論評抜きで発言内容を淡々と伝えており、ニュース専門チャンネルのYTNも
「日本国内では、このような主張が、独島の日本式名称である『竹島日本固有領土論』から1歩後退したと受け止められ、反発を買うことが予想される」
と報じる程度だった。