47都道府県の「魅力度」を調査した「地域ブランド調査2012」で、群馬県が最下位だった。
茨城県は4年連続の最下位を免れたとはいえ、46位。44位には栃木県と、北関東は総崩れ。いったい、なぜ北関東はこうも魅力がないのか――。
こんにゃくや草津温泉は有名なのに・・・
地域ブランド調査は、民間コンサルタント会社の「ブランド総合研究所」が2006年から毎年実施しているものだ。「認知度」や「魅力」、都道府県に行きたくなる「観光意欲度」や住んでみたくなる「居住意欲度」、情報発信の頻度や露出度を示す「情報接触度」など72項目について調べている。2012年は全国の3万375人から回答を得た。
9月18日に公表された結果によると、昨年44位だった群馬県が最下位に転落。都道府県別ランキングを始めた09年からワースト1位を続けていた茨城県は、一つランクを上げて46位となった。45位は佐賀県、44位は栃木県、43位は福島県だった。
一方、第1位は4年連続で北海道。2位が京都府、3位に沖縄県が入った。東京都、奈良県、神奈川県と6位までが前年と変わらなかった。
北海道は、市町村別でも札幌市が第1位に、函館市が3位、小樽市と富良野市が6位と、ベスト10に4市がランクインしている。
それにしても、どうして北関東はこんなにも評価が低いのだろうか――。ブランド総合研究所によると、「北関東の3県は首都圏という巨大市場に近いため、地域のイメージづくりなどの必要性が弱かったからではないか」と指摘する。
たとえば、3ポイントも急落して最下位となった群馬県は、「温泉で有名な草津町などの観光地を抱えています。また、こんにゃくやネギの産地としても有名です。こうした魅力が残念ながら、群馬県のイメージにつながっていないことが総合での評価を下げています」。情報発信の仕方に課題があるという。
同じことは、魅力ある観光資源を抱えながら「低迷」する栃木県や茨城県にも共通している。
そんな北関東3県に対して、ここ数年着実にランキングを上げているのが、群馬県の隣の長野県。09年にはベスト10圏外だったが、12年は7位に入った。こちらも軽井沢町や安曇野市などの観光地が有名だが、「ドラマや映画の舞台になる機会が増えた」ことがイメージアップにつながったようだ。
震災、観光意欲に影響 原発立地県の居住意欲下がる
気になるのが、東日本大震災の被災地。太平洋に接する東日本6県の「魅力度」を震災前の2010年と12年で比べたところ、福島県が33位から43位に大きく後退したほか、宮城県が13位から21位に、沿岸部のほか内陸部でも液状化などの深刻な影響を受けた千葉県も14位から20位に下げた。
半面、岩手県は27位から24位に3ランクアップ。茨城県は最下位から1つランクを上げた。
調査では、福島県と宮城県の「観光意欲度」が、10年よりも福島県が5.9ポイント、宮城県が6.3ポイントと5ポイント以上低下してランクを落としたが、岩手県は11年6月に平泉・中尊寺などが世界遺産に登録されたこともあり、その効果と震災の影響とが相殺されてランクが下がらなかった。
茨城県の「観光意欲度」も10年から継続して上昇傾向にあり、ブランド総合研究所は「観光意欲度の差が、総合評価に表れた」とみている。
福島県は、福島第一原発の事故の影響が小さくない。福島県の「居住意欲度」は10年の28位から、昨年は一気に最下位に転落。12年も最下位だった。
また原発の再稼働が注目されるなか、大飯原発などが立地する福井県も「居住意欲度」が10年は44位。昨年は40位。12年は46位と振るわない。