脱原発後のプルトニウムの行方に懸念
9月21日までウィーンで行われていたIAEAの総会では、初めて全加盟国向けに脱原発路線への理解を求めた。だが、IAEAの天野之弥事務局長は脱原発後のプルトニウムの行方について懸念を示した。米国も同様の理由で脱原発には否定的で、核防護の観点からの説明が求められることになりそうだ。
9月22日の東京新聞は、「エネルギー・環境会議」の「原発ゼロ」の方針が、閣議決定ではやや後退した形になった背景について、「米国の強い要求」があったという記事を掲載した。同紙によると、米国側は、「日本の核技術の衰退は、米国の原子力産業にも悪影響を与える」「再処理施設を稼働し続けたまま原発ゼロになるなら、プルトニウムが日本国内に蓄積され、軍事転用が可能な状況を生んでしまう」などと指摘。再三、米側の「国益」に反すると強調したという。
なお、日本が原発の輸出を目指していたり、すでに輸出を決めたりしているリトアニア、ベトナム、フィンランドといった国々は、まだ日本の脱原発路線に対する態度を明らかにしていない。