石破氏「日米原子力協定から目をそらしていないか」
原子力については、「再稼働容認」で4候補とも一致した。政府が2030年代に「原発ゼロ」を目指すエネルギー・環境戦略を打ち出したことについては、批判の声が相次いだ。例えば安倍晋三元首相は、
「原発への依存を減らすのは国民のコンセンサス」
としながらも、
「ものづくりの経営者は拠点を日本に置くべきか判断を迫られている」
「民主党のようにに『ゼロ』と言った瞬間に、日本の技術者は流出してしまう」
と、製造業が受けるダメージについて指摘。石原氏も
「安定した、廉価な電気供給なくして、産業はその地域で成り立たない」
と同調した。林芳正政調会長代理は、新基準で安全確認を行うことの重要性を強調した。
異色だったのが石破氏。石破氏も、
「他の技術の開発は急ぐ。電気自動車普及も急ぐ。そういうものに全勢力を傾注するが、だからと行ってゼロということには相成らない」
と、電力の安定供給の面から原子力は当面は必要だとの立場だが、
「日米原子力協定から目をそらしていないか。このことを忘れてはならない。我が国が平和的に原子力を利用するということが、どういう意味なのか。日米同盟にとって、どういう意味を持つものなのかということをしっかり認識し、合衆国に説明することが必要であり、国民にも、それを説明しなければならない」
とも述べた。同協定は1955年に成立し、核物質の再処理と第三国への移転などについて定めている。具体的には、日本が米国から濃縮ウランを輸入することにも触れられている。石破氏は、「原発ゼロ」が安全保障に与える影響について言及した形だ。