「協力関係にある」ことが法律適用免除の前提
とすると、中国側が尖閣周辺海域にどんどん入ってきて、上陸できるすきだらけということになる。尖閣を大量の漁船などで取り囲んでしまえば、中国の人民解放軍が漁民を装って上陸し、尖閣を実効支配してしまうシナリオも現実味を増すわけだ。
ただ、小渕書簡では、法律適用免除の前提として、「海洋生物資源の維持が過度の開発によって脅かされないことを確保するために協力関係にあること」とされている。もし大量の中国漁船が海域で操業するとなれば、その前提が崩れることになるが、その場合は法律適用が免除されないのか。
この点について、外務省の中国・モンゴル第2課では、「状況を見ないと何とも言えない」「はっきりした解釈は申し上げられない」と取材に対して言葉を濁すだけだった。なぜこのような書簡を取り交わしたかについては、「台湾にも利害があるなど権利関係が複雑ですので、お互いに口出ししないようにあいまいにしたということです」と説明している。
海上保安庁の広報室によると、領海侵犯法がなく領海を通行しただけでは逮捕できないため、もし尖閣に向かう漁船を見つければ、まず立ち入り検査で事情を聞く必要があるという。そこで尖閣に上陸する疑いが出てきた場合に限って、逮捕することができるそうだ。 なお、中国漁船が尖閣海域に入ったかについては、2012年9月18日夕時点でそのような情報があるかまだ確認できていないとしている。