沖縄県石垣市の尖閣諸島を政府が国有化したことで、その沖合に眠る「資源」の開発に俄然注目が集まっている。
尖閣沖の資源開発をめぐっては、最初に開発する権利である「先願権」を、大手商社の双日が72.2%を出資する「うるま資源開発」が握っているが、「何がどのくらいあるのか、正確には把握できていない」(双日)という。
海底調査が行われ、石油の有望な埋蔵地域と評価
うるま資源開発は、資源確保に注目が集まっていた第1次石油危機後の1973年11月、沖縄の実業家から先願権を取得した旧日商岩井(現・双日)が中心となって設立された。現在は双日のほか、コスモ石油とアラビア石油などが資本参加。双日の社員1人が担当となり、社長もこの社員が務めている。
先願権は取得後3年以内に政府の認可を得て試掘権に切り替え、商業化しないと権利を失うことがある。尖閣沖では、うるま資源開発が鉱業法に基づく試掘権の申請前の段階で、中国が突然領有権を主張しはじめたため、以後40年近くにわたり試掘権の認可が棚上げされた。
では、実際にどんな資源が、どの程度あるのだろう――。尖閣沖に膨大な資源があるとわかったのは1968年、第3次佐藤栄作内閣のときだ。国連・アジア極東経済委員会(ECAFE) の協力で東シナ海で海底調査が行われ、その結果、尖閣諸島周辺の海域には1095億バレルの原油埋蔵量があり、「世界的な産油地域となるであろうと期待される」と、石油の有望な埋蔵地域と評価された。
1000億バレルの埋蔵量は、世界一の原油埋蔵量のサウジアラビア(2667億バレル)には及ばないが、イラク(1150億バレル)やクェート(1040億バレル、いずれも2009年10月の公表値)に匹敵する。
現在の原油価格は1バレルで約100ドル。1000億バレルは10兆ドル分で、1ドル80円換算で800兆円にのぼる原油が眠っていることになる。