消費者の反応が気になる
農水省によると、国内の牛肉の消費量は国内でBSEが発生する直前の2000年度は約110万トン(輸入73.8万トン、国産36.5万トン)だったが、2003年12月に米国でBSE感染牛が発見され、輸入禁止になると、2004年度の国内消費量は80万トンに低下。国産牛肉はその後も35万トン前後で推移したが、輸入牛肉は40万トン台に減少し、消費量は80万トン台にとどまっている。
2000年代初頭まで、米国産牛肉は豪州産と並び、輸入牛肉の半数近くを占めてきた。米国産牛肉の輸入が禁止となった後は、BSEが発生していない豪州産とニュージーランド産牛肉の輸入が急増した。
BSEが発生した輸出国のうち、日本は2005年12月、「月齢20か月以下」などを条件に米国とカナダから牛肉の輸入を再開。2006年度以降、米国産は徐々にシェアを回復したが、2010年度で豪州産35.2万トンに対して、米国産は9.9万トンにとどまっている。
流通業界も規制緩和をもろ手を挙げて歓迎しているわけではない。「気になるのは消費者はじめ、世論の反応」(関係者)という。今回の食品安全委の答申を受け、厚労省は消費者の意見を聞いたうえで最終判断することになる。食肉の安全をめぐる議論だけに、科学的知見の是非だけでなく、消費者の反応も気になるところだ。