「年金過払い」また先送り 解散含みで与野党が及び腰

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額が脹らんで解消には時間がかかる

   実は、年金では2004年の制度改革で、給付水準を加入者数や平均寿命、経済状況等を考慮して抑制する「マクロ経済スライド」という抜本的な給付抑制策を導入済みだ。ただ、年金の払い過ぎを解消しないと、この制度を発動できない。過払い解消は、年間1兆円の払い過ぎという以上に、抜本的な年金給付見直しの前提でもある。

   過払い解消は仕切り直しになり、厚労省は来年4月からのスタートをにらみ法案の再設計を進めるが、額が膨らんだ分、解消にかかる時間は延びる。民自公3党協議の結果、民主党政権が標榜した高所得層の年金減額も見送られた。民主党は9月上旬、総選挙向け公約作りに絡んで、低所得層への支給を手厚くし、「格差縮小」を鮮明にした新年金制度案に関する試算を打ち出したが、総選挙で勝てなければ絵に描いたモチに終わる。

   増税しても、年金など将来不安が解消されれば消費にも好影響が出る――消費増税を柱とする「社会保障と税の一体改革」の根本思想だったはずだが、与野党が大局的に歩み寄って「安心の制度」を練り上げていく見通しは、まったく立っていないのが実情だ。

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