出馬安倍元首相「復活」の秘密 2年前発売の特効薬が劇的に効いた

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

   自民党総裁選に出馬する安倍晋三元首相。2007年9月12日の首相辞任はあまりに突然で国民を驚かせたが、奇しくも5年後の同日に立候補を表明した。

   辞任当時の会見ではその理由を明らかにしなかったことから、さまざまな憶測を呼んだが、じつは「潰瘍性大腸炎」という厚生労働省が難病指定するほどの悪疾だった。

2009年に発売された「アサコール」

安倍元首相、総裁選出馬は「特効薬」が効いた(写真は、「アサコール」の発売元のゼリア新薬工業ホームページ)
安倍元首相、総裁選出馬は「特効薬」が効いた(写真は、「アサコール」の発売元のゼリア新薬工業ホームページ)

   潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜の慢性炎症で、ただれたり、ひどくなると潰瘍ができたり腸壁が破れたりする。30歳以下の若い成人に多くみられ、下痢や血便、腹痛などの症状を示し、一時的に症状が軽くなったり再発したりを繰り返す慢性疾患だ。

   原因は不明だが、細菌感染説やアレルギー説、免疫機能の異常などが原因と考えられ、また心理的要因や社会的なストレスで発症したり、症状が悪化したりすることがあるといわれる。

   安倍氏はこの病気を10歳代半ばに発症。以来、腹痛や下痢に悩まされてきたようだ。首相辞任のころには頻繁に便意をもよおし、トイレに駆け込むほど悪化していて、国会答弁を満足にこなせないくらい、ひどかった。

   そんな安倍氏が元気を取り戻し、総裁選に出馬できるまでに病状が回復した背景には、「2年前に特効薬が発売された」(安倍氏)ことがある。

   その特効薬が、ゼリア新薬工業が2009年12月に発売した経口薬「アサコール」だ。薬効に「潰瘍性大腸炎治療剤」とあり、入手するには医師の処方箋が必要になる。成人は1回2錠(主成分として800ミリグラム)を1日3回、食後に服用する。大腸で成分(メサラジン)が溶ける薬剤なので、かまずに飲む。

   独立行政法人の医薬品医療機器総合機構によると、副作用に腹痛や下痢、腹部膨満、頭痛などを起こしたり、潰瘍性大腸炎を悪化させたりすることがごくわずかに報告されている。また、肝機能や腎機能が低下している場合は避けたほうがいいとも記されていて、効き目が強いようだ。

   安倍氏が「特効薬」というだけあってか、ゼリア新薬工業は「(売れ行きが)伸びていることは確かです」と話している。

「発症して40年来、初めてのこと」

   一方、安倍氏は首相辞任当時もそうだが、政治家を志してから、病気があると知られるのはマイナスと考え、潰瘍性大腸炎であることをずっと伏せてきた。

   とはいえ、首相を突然辞任したことは大きな「失点」で、そのマイナスイメージを払拭する必要があることは間違いない。

   安倍氏は2012年9月12日の総裁選出馬の会見冒頭で、「病気のためとはいえ、国民と党員に心からおわび申し上げる」と陳謝した。そのうえで総裁選のキャッチフレーズを「日本再起」とし、「全身をなげうって同志の声に応える決断をした。日本人の命を断固として守ると宣言する」と決意を示した。

   健康問題には、「今はまったく問題なくなった。現在は血液検査でも正常値になっているが、こんなことは発症して40年来、初めてのこと」と自信をみせ、「(再起は)自分のことではありませんよ」と語る余裕をみせた。

姉妹サイト