沖縄県の尖閣諸島の国有化を受けて北京を訪問していた外務省の杉山晋輔アジア大洋州局長が、中国公安当局から「頭押さえつけ取材対応を妨害」(産経新聞)したとして、ネット上では「これはひどい」として中国批判が強まっている。
その時の様子を収めた写真も配信されており、「抗議すべき」との声も出ているが、外務省にはその予定はない。中国側は、逆に杉山局長を「守ろうとした」というのだ。
「警備員らが杉山局長の頭を押さえつけて車に押し込む」
会談は2012年9月11日と12日の2日間にわたって行われ、中国外務省の羅照輝アジア局長らと意見交換。日本側の立場を中国側に伝えた上で、実務レベルの協議を続けることで一致した。会談後、杉山局長は報道各社のぶら下がり取材に応じたのだが、このときの中国側の対応が批判を呼んでいる。産経新聞によると、
「当局は突然、現場に警察車両で乗り付け、取材活動を許可しない旨を日本大使館関係者に通告。警備員らが杉山局長の頭を押さえつけて車に押し込み、報道陣との接触を妨げた」
という。共同通信は、この時の写真を配信しており、中国側の背広姿の男性が、杉山局長の頭を押さえつけて車の中に押し込めようとしているようにも見える。
これを受け、ネット上では
「無礼にも程がある」
「普通に外交問題じゃないの」
といった声が続出。自民党の小池百合子衆院議員もツイッターで
「これは、ヒドイ。言論封殺どころか、外交上も非礼極まりない。抗議すべし」
と憤った。
外務省、現時点では抗議の予定なし
ただし、現時点では抗議の予定はない。杉山局長と同じ車に乗っていたという中国・モンゴル第1課の担当者によると、
「警備担当者は、逆に杉山局長を守ろうとしていた。大勢の人がいて押されている状況だった。頭を押さえつけているように見えるのは『頭を(車の天井にぶつけないように)気をつけてください』ということ」
と話しており、実態は逆だったと説明している。
中国側が「報道陣との接触を妨げた」かどうかは現時点では明らかではないが、会談の会場となったホテル側が、大勢の報道陣がロビーに集まるのを嫌ったという事情はあるようだ。その結果、中国側が報道陣に対して退去するように求めた可能性はある。