少数の一般人が暴走して、街中で日本人に暴力をふるう
この男性は、最近でも中国人から個人的にいやがらせをされたり、悪口を言われたりしたことはないと言う。一方で自衛を徹底している。上海に住んで6年目で、中国語はもちろん現地の事情に明るいため、危険とみられる場所には一切近寄らず、日本人が多く集まる場所を避けて大通り沿いの店に入るよう心がけて「リスクヘッジ」しているそうだ。
尖閣をめぐっては2005年、2010年にも中国各地で反日デモが起きた。特に2005年4月16日に上海で起きたデモには約2万人が集まり、多くの日本料理店が襲撃、破壊されたうえ、日本人2人が負傷している。今回は過去と比較して状況に違いはあるだろうか。在上海の男性は2010年当時の様子を覚えており、この時の方が「デモはもっと人数が多かったように感じます」と振り返る。ただ、「問題が起きそうな場所はだいたい予想がつき、上海の友人が危険情報を教えてくれたので、日本人にとってはそれほど怖くありませんでした」。
今回の場合、組織的なデモは当時より少ないようだが、「少数の一般人が暴走して、街中で日本人に暴力をふるっている」と感じるという。いつ、どこで面倒が起きるか予測不可能なだけに、在留邦人にとっては精神的にも参るだろう。
日中双方で、尖閣問題の着地点は今のところ見いだせていない。加えて、満州事変の発端となった柳条湖事件が起きた9月18日が間近に迫っている。男性は、「週末から18日までは極力外に出ません。ただ、それ以降も状況が変わらないと難しいことになるかもしれません」と困った様子だった。