(ゆいっこ花巻;増子義久)
「お話が面白くって、暑さなんかどっかに吹っ飛んでしまったぞ」―被災した4つの小学校(大槌、大槌北、赤浜、安渡=438人)が同居する仮設校舎(大槌町小鎚)に31日、子どもたちの元気な声がはね返った。猛暑続きで健康管理が必要となったため、この日の授業は急きょ午前で打ち切り。そんなことはどこ吹く風…子どもたちは「お話しキャラバン」の一行が披露する不思議な物語に身を乗り出して聞き入った。
神奈川県秦野市の主婦らでつくる「おはなしころりん」(会員約50人)のグループで、この日訪れたのは堀孝子さん(68)、岩間幸子さん(67)、水島幸子さん(62)、柿沼真由美さん(68)の4人。今年1月にも同じメンバーで物語や手遊び、わらべ唄などを披露。2回目の今回は「かいじゅうたちのいるところ」(絵本)、「マメ子と魔物」(イランの昔話)、「ラチとらいおん」(絵本)などの読み聞かせをした。
「僕、その話は知ってるぞ」「少しおっかないけど、楽しいなぁ」…。大型扇風機がうなりを上げる中、2組に分かれた1年生約60人は身じろぎもせずに話に聞き入った。大槌小学校1年の谷沢春妃ちゃん(7)は「もっともっと聞きたかった。じゃんけん遊びでは全部勝ったよ」と嬉しそう。「子どもたちの真剣な眼差しにこっちが元気を貰いました。ささやかな贈り物だけどまた、是非来たい」と4人グループも満足気。
「ニギリ、パッチリ、タテヨコ、ヒヨコ」―。わらべ唄に合わせて、手の平からひょいと現れたのは黄色いひよこ。仮設校舎での読み聞かせを終わった一行はこの後、釜石市内の「ゆいっこ花巻」の炊き出しボランティアに合流。タンポポやウグイス、太陽…。仮設団地のお年寄りたちは黄色い布地を使って、草花や動物たちを次々に誕生させながら「ああ、久しぶりに童心に帰ったなぁ」。
ゆいっこ
ゆいっこネットワークは民間有志による復興支援団体です。被災地の方を受け入れる内陸部の後方支援グループとして、救援物資提供やボランティア団体のコーディネート、内陸避難者の方のフォロー、被災地でのボランティア活動、復興会議の支援など、行政を補完する役割を担っております。
ゆいっこは、「花巻」「盛岡」「北上」「横浜」「大槌」の各拠点が独立した団体として運営しておりますが、各拠点の連携はネットワークとして活用しております。
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