葉っぱが今年も赤みがかったなと思ったら、たちまち一帯の木々が似たような"症状"になった。全体が枯れ葉色になったソメイヨシノもある(=写真)。放射能のせい?ではない。
アメリカシロヒトリが今年も夏井川の岸辺林で大発生し、オニグルミやヤナギの葉を食害している。国道6号常磐バイパスの終点・夏井川橋のすぐ上流両岸の異様な光景だ。
枯れ葉色のソメイヨシノは、それからさらに上流の堤防にある。その木だけピンポイントで狙われた。
異様な光景で思い出したことがある。昨年の春から初夏にかけて、「竹の葉が異常に黄ばんでいる、放射能のせい?」といろんな人から尋ねられた。
旧友のフリーライターも、ある雑誌に「新緑のはずの竹林が茶褐色になっているのも事実である。だが放射能との因果関係はわからない」、写真説明には「原発事故後、方々で竹林が茶褐色になる現象が」と、当たり前の現象をさも異常なように書いていた。自然に詳しいはずのおまえがなぜ、とがっくりきた。
俳句の春の季語に「竹の秋」がある。4月に黄ばみ始め、タケノコが採れるころに落葉することを表している。放射能に関係なく、孟宗竹の葉は春から初夏、茶褐色になるのだ。旧友のふるさとには孟宗竹がないのかもしれない。
ふだんは自然を忘れている人たちが、去年はたまたま黄ばんだ竹の葉を見て過敏になった。放射能の影響かと短絡しておびえた。
岸辺のヤナギの異変は、原因がはっきりしている。が、去年は最初よくわからず、いろいろ調べてアメリカシロヒトリにたどり着いたのだった。
散歩の途次、赤茶けた岸辺林を眺めながら、冷静に、しかしあなどらずに、ニュートラルな気持ちで自然を見る。特に、フクイチとの関連では――と自分に言い聞かせる。
(タカじい)
タカじい
「出身は阿武隈高地、入身はいわき市」と思い定めているジャーナリスト。 ケツメイシの「ドライブ」と焼酎の「田苑」を愛し、江戸時代後期の俳諧研究と地ネギ(三春ネギ)のルーツ調べが趣味の団塊男です。週末には夏井川渓谷で家庭菜園と山菜・キノコ採りを楽しんでいます。
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