「国慶節」前までに姿を現すかに注目
9月13日になると、中国側の状況はやや変化した。中国国営メディアが習氏の動向について触れ、6日に亡くなった共産党の老幹部に対して「いろいろな形で哀悼の意を示した」と報じたのだ。元朝日新聞編集委員で同志社大学教授の加藤千洋氏はJ-CASTニュースの取材に、この種の動静の伝え方は「常とう手段」と説明する。
加藤氏はこの「追悼」のニュースについて、習氏が胡錦濤国家主席に次ぐ序列第2位で報じられた点に触れ、習氏が生存していると同時に失脚していないことを示すものだと指摘した。
一方で中国指導者の健康状態は極秘情報であり、これまでも外部には一切公表されなかった。加藤氏によると、1997年に死去したトウ小平(トウは登におおざと)氏が重篤な状態に陥った際も、中国外務省は「われわれの元には変わった情報は届いていない」と言い続けたという。2011年には江沢民氏の死亡説が流れたが、この時も何も発表はなかった。次期指導者と見られる習氏の体調について一切公式コメントが出ないのも、これまで同様の措置と考えられよう。
とは言え党大会が間近に迫っているとみられる時期に、次のリーダーと目される人物が海外要人との会談を突如キャンセルし、姿を現さない事実はやはり何らかの事態が起きているとみられる。では、いつまでに本人が登場すれば「不安なし」と言い切れるだろうか。
加藤氏は時期的な「タイムリミット」として、9月末を挙げた。10月1日は中国の建国記念日にあたる「国慶節」で、この日の前には党の古参幹部を招いての宴会など、さまざまな祝賀行事が開かれる。「ここで習氏が参加していないとなると、問題でしょう」と加藤氏。お祝いの席に現れた様子が映像として流れてこなければ、事態が深刻化している可能性がありそうだ。