政府の尖閣諸島国有化について、北海道新聞が「問題解決の決め手とは言えない」と社説で批判したことに、ネット上で異論が相次いでいる。
道新がなぜか韓国を持ち出したことにも違和感が多いようだ。
話題になったのは、「尖閣国有化 対抗措置の応酬避けよ」と見出しがついた2012年9月12日付の社説だ。
「問題を棚上げのままが現実的」と社説で主張
そこでは、政府が11日に尖閣を国有化したことについて、中国の挑発に乗った石原慎太郎東京都知事の挑発に国が乗ってしまったとし、「日中間の対立に日本政府が一歩踏み込むことになる」と懸念を示した。そのうえで、「これ以上問題をエスカレートさせるべきではない」として、政府の国有化を疑問視している。
その代わり、従来のように、尖閣問題を棚上げのままにしておくことが現実的な選択肢であり、戦略的な互恵関係にもなるとした。政府は、石原都知事に尖閣購入を断念させ、これまで通り賃借のまま土地の管理を強化できたはずだともいう。民主党の野田佳彦首相が代表再選のため外交利用したともみられ、無責任だと批判している。
この社説内容について、ネット上では、疑問が次々に出た。「土下座外交を再開しろと言ってるのか」「外交ってのは国際社会から受け入れられるんじゃなくて受け入れさせるんだ」といった声だ。
さらに、社説中でこんな表現をしたことにも、批判が集まっている。
「韓国の支持を受ける必要がどこに?」
「日本との間に竹島問題を抱える韓国でも、尖閣問題で日本を一方的に支持する声は少ない」
この表現に対しては、「なんで韓国が出てくるの?」「韓国の支持を受ける必要がどこに?」と首をひねる向きが多いのだ。
もっとも、尖閣国有化後は、中国が周辺に海洋監視船を派遣したり、日中間交流行事の中止が相次いでいたりしており、ネット上では、「戦争になっても尖閣が欲しいか?」といった指摘もある。
また、道新の社説では、「尖閣諸島は日本固有の領土だ」と日本側の主張も代弁している。さらに、政府が20億5000万円もの額を地権者に支払ったことについて、「評価額はもっと低いとの見方もある。税金を使う以上、算定根拠をきちんと説明すべきだ」と述べており、この点については、「20億円の根拠は知りたいな」とネット上でも共感する声が出ていた。
道新は北海道で圧倒的なシェアと影響力を持つブロック紙。地元で北方領土問題を抱えている。
ちなみに日経新聞は尖閣について12日の社説で、都が保有するよりも「政府が保有し、安定的に管理したほうが、日中関係の対極にも役立つ」と書いている。朝日新聞も13日の社説で「中国への挑発的な言動を繰り返す石原氏の管理下に置くよりも、国有化の方が無用な摩擦を抑えることができる」とほぼ同趣旨の主張をしている。