民主党は次期総選挙での大敗が決定的だ。今月(2012年9月)、民主党代表選が行われるが、この責任はすべて野田首相にとってもらうとして再選が濃厚だ。
ここで、代表選に出ても勝ち目がなければ、残り少ない政権のうまみは味わえないし、総選挙で議席を失うかもしれない。そうであれば、総選挙を遅らせ、できる限り政権内にあるという特権を利用して地元にバラマキ、あわよくば総選挙でも勝利しようと思っても不思議でない。
消費税増税したので、すでに「用済み」
野田首相は、代表選後の内閣改造と補正予算をちらつかせている。このような民主党の動きは霞ヶ関官僚は読んでいる。9月7日、来13年度予算の概算要求が締め切られた。復興予算19兆円のうち1/4は復興以外に使われたとかいう無駄遣いがあるにもかかわらず、要求総額は、復興関連予算を含め過去最高の102兆円。
今や特例公債法案も成立せず、同じく7日に予算執行停止の閣議決定を行ったが、これは単なるポーズだ。財務省ももう野田政権を見切っている。本来であれば、予算カットの定番メニューである国債定率繰入の停止で10兆円ほど歳出規模をカットし、その上で、2011年度の復興予算の使い残し5.9兆円のうち4.8兆円は翌年度に繰り越されるが残り1.1兆円は財源にし、11年度の決算剰余金2兆円のうち復興予算0.8兆円以外の1.2兆円などをかき集める。
さらに、資金繰り債と呼ばれる政府短期証券を20兆円まで発行できると予算総則に書かれており、8月末現在で約19兆円の発行枠が残っている。これらを総動員して、2013年1月くらいまで予算執行を乗り切る。その後は、1月から前倒し債12兆円が発行可能であるので年度内の資金繰りは何とかして、来13年通常国会での特例公債法の成立を待つくらいはやるはずだ。ところが、財務省は動かない。結局、野田政権は消費税増税したので、すでに「用済み」なのだ。
その一方で、次期政権につくと思われている自民党総裁選の動きには細心の注意を払っている。