社会保障の政策論で「尊厳死」持ち出す 石原伸晃氏がまた危ない「放言」?

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   自民党の総裁選に正式に立候補を表明した石原伸晃幹事長の発言が、早速「失言」だとの指摘がネット上に広がっている。社会保障政策について話す中で突然尊厳死の話題が登場し、「尊厳死で社会保障費が減らせる」という趣旨だと受け止める向きもあるようなのだ。

   石原氏は、この発言の前後に「誤解を受ける」と繰り返しており、真意は別のところにある可能性もあるが、石原氏の「口が軽い」という評判を改めて裏付けた形だ。

「ナマポ」対策で「私たちの試算ではマイナス8000億」

   発言があったのは2012年9月11日夜にテレビ朝日系で放送された「報道ステーション」。同番組では、日替わりで総裁選候補者が出演しており、この日が石原氏の出番だった。番組は、さまざまな政策課題について見解を聞くというもので、司会の古舘伊知郎氏が社会保障のあり方について、

「後期高齢者をどうするか、あるいはまた、いろんな自己負担のあり方。富裕層に対しては自己負担率をお年寄りに上げてもらうとか、そのあたり具体的にお伺いしたいんですね」

と問いかけた。石原氏は、

「こうすれば良いという個人的な考え方は、あります」

と、はぐらかそうとしたが、古舘氏が

「だからそのお考えをお聞かせください」
「今言えないんですか?」

と食い下がったため、石原氏が自説を披露した。まず、いわゆる「貧困ビジネス」を批判し、都営住宅が低価格で提供されている事例を挙げながら、

「そういうものに変えていけば…。『ナマポ』。古舘さんもご存じだとは思いますけども。『ゲットしちゃった』『簡単よ』『どこどこへ行けば簡単にもらえるわよ』。こういうことを、是正することを私はできると思う」

と、ネット上を中心に使われている「ナマポ」という言葉を使って生活保護制度の改善を訴えた。この政策で、「私たちの試算では(歳出が)マイナス8000億」だとした。

「非常に誤解を招く」と繰り返す

   その上で、

「この他にもまだあります」

と切り出したが、

「ただこれは単純に言うとね。非常に誤解を招きますんで」

と発言を躊躇。それを古舘氏が、

「でもね、これは総理を目指している…」

と発言を促したところ、

「一言だけ言わせていただくと、私はね、尊厳死協会に入ろうと思っているんです。尊厳死協会に。やっぱりターミナルケア。これからどうするのか。日本だけです。私誤解を招いたんです、この発言で。私はやっぱり生きる尊厳。そういうものをですね、いったいどこに置くのか。こういうことも考えていく、そこに色々な答えがあるんじゃないでしょうか」

と述べた。このように、石原氏の発言からは、社会保障と尊厳死にどのような関係があるか分かりにくい。なお、尊厳死はQOL(生命の質)と関連づけて議論されることが一般的で、社会保障政策の文脈で登場することは珍しい。

過去にも「失言」繰り返す

   古舘氏は、批判が起きる可能性を察知したのか、直後に、

「これはそうやってある程度尊厳死を認めることで、医療費をカットするというお金の方に行くことに誤解を受ける部分があるから、『非常に慎重に、これから』ってことなんですね」

とフォロー。石原氏が

「仰るとおりです。これは個人の意思ですよ」

と応じ、番組出演を終えた。

   元々の石原氏の説明が分かりにくかったこともあって、ネット上では古舘氏が危惧したとおり「尊厳死で社会保障費が減る」という文脈で受け止められ、批判が広がっている。

   今回の発言以外にも、石原氏をめぐっては「口が軽い」という評判がつきまとう。例えば12年だけでも

「(『胃ろう』患者は)映画で、人間に寄生している、エイリアンが人間を食べて生きている」(2月6日)
「あれだけ大きな事故があったので、(『反原発』の動きが)集団ヒステリー状態になるのは心情としては分かる」(6月14日)

といった発言が批判を浴び、釈明に追われている。

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