かつては「けんかのやり方」を心得ていた
中国中央テレビが、トップニュースで外務省の声明を5分間にわたって放送したことについて安田氏は、「共産党当局が国民に向けて『尖閣について今後は強硬姿勢に出る』という明確な意思を示したもの」と説明する。中国当局が今回見せた異例の強硬姿勢の背景には、日本側と中国側それぞれの国内要因が存在すると語る。
日本側の要因として安田氏が挙げたのが、「自民党政権時代は、日中関係がギクシャクしても双方が『けんかのやり方』を心得ていた」点だ。両国が「落とし所」を見つけると、一定期間を過ぎた後に中国側の反日運動や強硬姿勢が収まっていく、一種のパターン化した流れがあったというのだ。ところが民主党政権に変わってからは、「『友愛』を唱えて平和志向でいたかと思えば、やたらと中国に対して強硬に出てきたりと、中国側が日本の出方を読みづらくなっている」というわけだ。尖閣国有化の動きも、従来は見られなかった。そこで中国側は「『本気度』の高さを示して、日本側の反応を見てみよう」と、軍の声明という「けん制球」を投げ込んできたのかもしれない。