2012年上期(1~6月)の世界新車販売で北米や東南アジアを中心に販売を伸ばし、2年ぶりに首位に返り咲いたトヨタ自動車の年間トップの座に、「黄色信号」が灯りはじめた。
国内ではこれまで追い風にしていたエコカー補助金が打ち切られることや、海外では尖閣問題で揺れる中国市場でライバルである独フォルクスワーゲン(VW)が勢いを増していることから、首位争いが熾烈になってきている。
12年上半期、全世界で「万遍なく」売れた
トヨタの2012年上期の世界販売台数(ダイハツ工業と日野自動車を含む)は、前年同期に比べて33.7%増の497万台となり、1999年の統計開始以来、最高を記録した。エコカー補助金の効果で国内販売は72.0%増の131万9000台に達し、海外も22.9%増の365万1000台と伸ばした。
12年上期を振り返って、トヨタは「前年の東日本大震災の反動増もあるが、景気の戻りによる市場拡大もあって、全世界で万遍なく好調だった」(広報部)と話す。
なかでも、北米は前年同期比28.3%増の114万台、アジアも31.9%増の118万台と大きく伸ばした。債務危機の影響を受けた欧州市場(2.8%増、42万6000台)でも、「新型車を投入したこともあり、プラスを確保した」という。中東やオセアニアも20%を超える伸び率だった。
11年秋に全面改良した「カムリ」が北米で好調だったほか、新興国向けには専用の世界戦略車である「IMV」シリーズが好調で、米ゼネラルモーターズ(GM)や独VWを逆転した。
12年上期の世界販売は、11年の世界の年間販売でトップだったGMが467万台の第2位。中国市場での存在感が増すVWが445万台で第3位につけた。
GMは「シボレー」ブランドの小型大衆車の販売を強化し、米国と中国での販売増加を見込む。
VWは、債務危機の影響からドイツを除く欧州市場での販売が6%減と、需要不振で伸び悩んだ。それでも第3位に踏みとどまったのは、米国市場で約30%伸ばし、中国市場でも18%増と伸ばしたためだ。
VWの世界販売に占める欧州市場の比率は4割にとどまる。積極的な海外展開で欧州の債務危機の影響を回避した。
日本市場でも、VWの1~6月の販売台数は2万8899台で、前年同期比20.4%増と好調だった。