韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領が、天皇陛下が韓国を訪問するにあたって謝罪を要求したとされる問題で、大統領が日本に詳しい韓国人有識者を大統領府(青瓦台)に招き、非公式に意見交換していたことが明らかになった。
李大統領は、謝罪要求発言について「真意が伝わっていない」などと発言した模様だが、これを受ける形で、韓国では、李大統領の発言のブレや一貫性のなさを指摘する声も出ている。
会合の存在を初めて報じたのは日本メディア
意見交換会は2012年9月5日早朝に行われた。大統領が日本の専門家を招いて会合を持つのは異例だ。初めて会合の存在を報じたのは日本のメディアだ。朝日新聞の9月9日朝刊によると、李大統領は
「私の発言がねじ曲げられて日本に伝わっている」
と不快感を示し、天皇陛下への「謝罪要求」については、
「過去の問題が浮上するたび、日本との関係が悪くなる。この悪循環を日王(天皇)の韓国訪問を断ち切れないか。何とか自分の任期中にケリをつけられないか」
と、天皇陛下の訪韓で事態を打開する狙いがあったなどと釈明した。また、いわゆる従軍慰安婦問題については、
「日本は法律や原則に固執しすぎている」
として、かならずしも法的解決にこだわらない姿勢を見せたという。朝日新聞以外のメディアも、同紙を追いかける形で会合の内容を報じている。NHKによると、日韓が領有権を争っている竹島(韓国名・独島)について、
「これ以上、刺激しないほうがよい」
「日本人に敬意を持っている」
と述べたという。
大統領府、「対日姿勢のブレ」批判おそれて反論?
ただし、韓国側では、この会合の内容を否定する報道が相次いでいる。
例えば、複数の韓国メディアによると、「慰安婦問題について法的解決にこだわらない姿勢」という部分については、大統領府が9月9日、「事実ではない」と釈明している。
さらに朝鮮日報は、9月10日に、会合に出席した複数の有識者の声を引用する形で、
「会合の際、天皇の謝罪についての話はほとんどなく、考えを変えたとか変えないといった話題もなかった。むしろ李大統領は『(天皇の謝罪を求めた発言の際)記者はいないと思っていた』と語った」
と報じている。
実は、今回の会合をめぐっては、韓国メディアから批判の声があがっている。例えば、左派のハンギョレ新聞は、
「ネチズンは、大統領の発言に一貫性がないと批判している」
と指摘し、韓国日報は、
「一部では、李大統領の天皇の謝罪要求発言は、『外交的問題を考慮せずに、即興で出てきたものだ』いう批判が起こっている」
と報じている。李大統領の発言のブレを批判している形だ。