野田佳彦首相は2012年9月7日夕方、通常国会が事実上閉会したことを受けて首相官邸で会見し、「国政の諸課題を中途半端な形で放置することはできない」として民主党代表選(9月10日告示・21日投開票)に立候補する意向を正式に表明した。
また、解散・総選挙の時期については「やるべきことをやり抜いたあと、しかるべき時に国民の信を問う」と述べ、従来の「近いうち」から一歩表現を後退させた。
解散・総選挙時期は「近いうちに」から後退
野田首相は冒頭発言の最後で、
「国政の諸課題を中途半端な形で放置することはできない。未完の一体改革や、道半ばの震災復興をはじめ、日本が抱えている残された課題とこれからも格闘し、克服していくという職責を、引き続き担っていきたい」
と代表選出馬を表明。原口一博元総務相も出馬の意向だが、対抗馬として有力視されていた細野豪志環境相が9月7日朝に出馬見送りを表明したことで、野田首相の代表再選が濃厚となった。
野党が求めている早期解散・総選挙については、記者から
「こういう(参院で問責決議案が可決されるという)状況の中でも解散をしないのは、『今選挙をすれば、民主党が惨敗する』という予測のもとで、『総理が国民生活よりも永田町の論理を優先している』と考える国民が多いと思う」
という厳しい質問が飛んだものの、野田首相は
「やるべきことをやり抜いたあと、しかるべき時に国民の信を問う。それ以上でも、それ以下でもない」
と、自民・公明と合意した「近いうちに」という表現すら使わなかった。
「やればできるということを体感することができた」
今国会での成果も強調。消費増税を柱とした社会保障と税の一体改革が成立したことについて、
「政治家が、使命感と覚悟を持ち、対極に立って取り組めば、政治の停滞は打破できることを証明していると思う。やればできるということを体感することができた」
と自画自賛した。その上で、成立させられなかった赤字国債発行法案については、
「どんな政権でも、この法案なしに政権運営することは不可能」
と説明し、
「さまざまな分野で大きな影響がでてくる恐れがある。野党にも危機感を共有してもらい、次期国会で速やかに可決するように願ってやまない」
などと野党に対して協力を求めた。
原子力規制委員会の委員長ら5人の人事案について国会での採決を見送り、閉会後に野田佳彦首相が任命する方針が批判されていることについては、
「十分に国会で理解を得られる状況では、現時点ではない」
「大事な役割を放って空白にすることはできない」
として理解を求めた。