大手格付け会社で欧州系のフィッチ・レーティングスが韓国国債の信用格付けを「A+」(シングルAプラス)から「AA-」(ダブルAマイナス)に1段階引き上げた。
「シングルAプラス」の日本や中国より1段階上位に格付けした。フィッチを含む格付け大手3社の格付けで、韓国が日本を上回ったのは初めてだ。
14年8か月かけて12段階上げた
フィッチが韓国国債の格付けを引き上げたのは、2005年10月に「シングルAプラス」に格上げして以来7年ぶりで、「ダブルAマイナス」の格付けは15年ぶり。見通しも「安定的」とした。「ダブルAマイナス」は、フィッチの格付けで上から4番目で、ムーディーズの「Aa3」(ダブルA3)と同クラスに相当。「アジアでは最高位にあります」(フィッチ)という。
韓国は1997年から98年にかけて通貨危機が起こった。その最中の97年12月23日に、格付けが「投機的」(ダブルB以下)と分類される「B-」(シングルBマイナス)まで引き下げられたが、14年8か月かけて12段階を駆け上がった。
一方、日本は1990年代後半まで信用格付けが最高評価の「AAA」(トリプルA)だったが、バブルの崩壊とそれに伴う金融危機、長びく不況で、格付けが「シングルAプラス」まで4段階も下落した。
フィッチは格上げの理由として、韓国は欧州の財政危機などの不安な対外環境の中でも安定的な経済成長を達成しているほか、政府の財政の健全性も高く、物価の変動性も低いとした。フィッチは「健全財政の基調が維持され、政府債務が減少すれば、今後さらに格上げを上方修正することが可能で、高齢化による財政負担も避けられる」と指摘した。
ただ、個人負債が増大していることや銀行の健全性が悪化していること、また北朝鮮が突然崩壊した場合などには格付けを下方修正することもあり得るとした。
韓国国債の格上げは、米格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスが8月27日に、「A1」(シングルA1)から「Aa3」(ダブルA3)に1段階引き上げた。
同社の格付けでは、韓国にとって過去最高の格付けで、日本や中国と並んだ。
「韓国は経済先進国として認められた」
2012年9月7日付の朝鮮日報・日本版によると、韓国企画財政部の崔鍾球(チェ・ジョング)国際経済管理官はフィッチの格上げについて、「主要国の信用格付けが引き下げられる中で、格付け会社2社が韓国の格付けを引き上げたのは極めて異例。ムーディーズとフィッチが韓国の格付けを、信用力のある優良国家を示すAA(ダブルA)に引き上げたことは、韓国が経済先進国として認められたことを示すものだ」と評価した、と伝えている。
第一生命経済研究所経済調査部の主任エコノミスト西濱徹氏は、「ウォンは、今日(9月7日)のところは多少上がっていますが、格付けの引き上げが大きなインパクトになるようなことはないでしょう」とみている。
西濱氏は「世界の経済情勢への関心がいま、欧州に向いている」ことが影響しているとみているが、韓国としてもウォンが過剰に上昇することになれば、輸出企業に大きな打撃になる。