日本の中学教科書では写真入りで解説、高校は掲載なしも
ただ韓国では、子どものころからあの手この手の「独島教育」を施している。長年にわたって植え付けられた「わが領土」の意識が強烈で、島への執着心は日本人の想像をはるかに超えるかもしれない。
ニューズウィーク日本版2012年9月5日号では、小中学生が竹島について授業で学ぶ様子や、「独島愛してる」と書かれたプラカードを掲げる若者、クッキーに「独島」と書き込む子どもの写真を掲載した。島をテーマにした弁論大会や体験イベントが催され、テレビ局はその日の放送終了時に竹島の映像を流す。徹底して竹島への思いを喚起させるのは、韓国では日常の光景のようだ。
では日本は、学校で竹島についてどの程度教えているのだろうか。都心にある書店で、販売されている地理の教科書を調べてみた。まず中学校向けの4冊は、いずれも竹島について触れていた。中には「韓国が不法に占拠している」とはっきり書いてある教科書も見つかった。ほかに「日韓で主張の相違がある」「韓国が自国の領土だと主張」といった趣旨で説明されており、空撮した島の全景写真を載せていた。ただ分量は、竹島問題を理解するうえで十分かどうかは分からない。多くても半ページ程度の扱いで、北方領土や尖閣諸島などと合わせて「領土問題」でひとくくりの解説になっているからだ。
高校の「地理B」の教科書になると、扱いはさらに小さくなる。ある教科書は本文で「竹島は韓国と領土問題がある」とひと言だけで、補足として欄外で島に関する説明があった。別の教科書は、日本を中心とした東アジアの地図を使って領土問題を解説。その中に「日本固有の領土である竹島は、韓国と領有権をめぐる問題がある」という内容が書かれていた。これに対して竹島について一切触れていない教科書もある。日本の場合、中学時代にわずかに竹島問題を学ぶものの、高校の授業では全く教えられない生徒がいることになる。