大阪市の橋下徹市長が率いる地域政党「大阪維新の会」の国政進出をめぐる動きに関心が高まっているが、注目されるのが橋下氏自身の動向だ。橋下氏は一貫して国政選挙への出馬を否定しており、現時点では「維新の会」が国政選挙に打って出るかについても言及を避けている。
ただし、橋下氏は、過去に出馬は「2万%ない」などと述べたものの大阪府知事選に出馬したという経緯もあり、今回も何が起きるか、予断を許さない状況だ。
定例会見でも「僕自身がリーダーになるつもりはない」
維新の会の国政進出をめぐる動きについて、「その展望を、橋下氏はもっと具体的に語る責任がある」と釘を刺したのが2012年9月4日の朝日新聞の社説だ。
「党首と市長にどう折り合いをつけるのか、説明してほしい」
維新の会が国政進出した際の中央政府と地方自治体の利害対立にどう対応するかを問うた。その上で、政策集「維新八策」が目指す社会像、国家像についても説明を求めている。
この社説では、
「府知事から市長に転じてわずか9カ月、持論の大阪都構想も道半ばで市長職を放り出しては市民の納得はえられまい」
と、橋下氏が市長に留まることが前提になっている。橋下氏は過去の会見でも、橋下氏は同様の発言を繰り返しており、8月30日の定例会見では、海外メディアから
「日本のニューリーダーになる気持ちはあるか」
などと問われ、
「僕自身がリーダーになるつもりはない」
と否定している。
ただし、橋下氏には「出馬しない」という前言を翻した過去があり、現在の発言を100%真に受けることができないのも事実だ。
ドタバタ劇が繰り広げられたのは、08年1月に投開票された大阪府知事選。
告示を約1か月後に控えた07年12月5日に朝日新聞が橋下氏の出馬に向けた動きを報じたが、橋下氏は
「根拠もなく報じられた」(12月5日)
「仕事をほっぽり出すような人間が行政のトップなんて立てるわけない」(12月6日)
「もう何%でもいい。2万%でも、何%でもあり得ない」(同)
などと繰り返し完全否定してみせた。ところが、12月12日には一転、出馬会見を開くことになった。