盗撮の日本IBM元社長 10年もトップに君臨した「大物」だった

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   JRの駅構内で女性のスカート内を盗撮したとして、日本IBMの大歳卓麻(おおとし・たくま)元社長(63)が、東京都迷惑防止条例違反容疑で警視庁の取り調べを受けていたことが明らかになった。近く書類送検される見通しだ。

   大歳氏は容疑を認めているといい、事件が明らかになるのと同時に日本IBMの最高顧問や、大手企業5社の社外取締役も辞任。約10年にわたって日本IBMのトップの座に君臨した「大物」に、一体何が起こったのか。

「第5世代」iPod nanoは盗撮に悪用されることが多い

   大歳氏は8月22日朝、JR四ツ谷駅の中央線ホームから改札口に向かう上りエスカレーターで、携帯型音楽プレーヤー「iPod nano」(アイポッド・ナノ)を動画撮影機能使用し、前に立っていた若い女性のミニスカートの中を撮影した疑いが持たれている。

   iPod nanoは、09年9月に発売された「第5世代」とみられている。シャッター音がせず、外から撮影していることに気付かれにくいため、盗撮に悪用される事例が相次いでいた。すでに生産中止されているが、中古品でも値崩れしないことで知られている。

   大歳氏は「盗撮に興味があった」などと容疑を認めたといい、逃亡の恐れがないことや、盗撮された女性から被害届が出ていないことから同日中に釈放されている。

   事件は8月30日に明らかになり、同日中に大歳氏が日本IBMの最高顧問を辞任していたことも明らかになった。さらに、花王、三菱UFJフィナンシャル・グループ、カルビー、TOTO、明治安田生命保険の5社が、相次いで大歳氏の社外取締役の辞任を発表。いずれも理由は「一身上の都合」だとされた。

   大歳氏は総務相の諮問機関である情報通信審議会の会長も辞任している。総務省の情報通信政策課によると、辞任願いは8月27日付けで提出され、8月28日に総務省に届いた。30日に受理したという。

米IBM本社でガースナー会長を補佐したことも

   大歳氏は東大工学部を卒業し、1971年に日本IBM入社。営業畑を歩み、常務取締役サービス事業担当を経て99年12月に代表取締役社長に就任。08年4月には会長を兼務し、09年に1月には代表権のない会長に。12年5月には最高顧問に就任していた。

   94年には米IBM本社で、ルイス・ガースナー会長(当時)の補佐をしたこともある。

   社長在任中は、女性の登用を積極的に進めたほか、社内に「ダイバーシティー委員会」をつくり、性的マイノリティーが働きやすい職場作りを進めたことが知られている。それ以外は、IT業界のビジネスが「ソフトからハード」に移行したことに対応する形で事業内容の転換を指揮した。

   ただし、大歳氏を古くからよく知る関係者は、日本IBMは業績不振が続いていることもあって、

「業績については、正直に言って、ほめるべきことが少ないように思う。日本経済の不振とともに、IBMの世界における日本の位置づけも低くなって、下降線をたどる不運な時代の外資系経営者だった、という印象だ」

と、厳しい評価だ。

   なお、今回の事件については、

「普段の生活からは想像がつかなかった」

という。

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