理由なしでの問責決議「出さないほうがまし」
谷垣総裁は可決を受けて、「1日も早い衆院解散」を首相に迫っていくと語気を強めた。3党合意の際に野田首相は「近いうちに解散」としたものの、詳しい時期は明言していない。だが問責決議の提出理由の文面を見ると、「首相の責任は極めて重大」という指摘しかなく、解散を迫る文言は入っていない。8月29日放送のテレビ朝日「報道ステーション」ではこの点を指摘。過去の自民政権下で行われた問責決議では、例えば2008年の福田康夫首相に対してのものでは明確に「総辞職か衆院解散せよ」という趣旨の文言が入っている。ところが今回は、何を求めているのかが不明瞭なのだ。
国会で審議されるのは「提出理由」ではなく決議の賛否であり、だからこそ自己矛盾につながる「小異」を捨ててでも問責を優先したという自民側の説明を聞くと、ではなぜ公明は採決を棄権したのかという疑問が残る。山口那津男代表は「我々は筋を通した」「3党合意、一体改革の重要性をしっかり国民に理解していただくことが重要」と話している。提出理由の中身で批判されたことに反発したからこそ棄権したのではないか、ともとれる。自民党内でも、丸山和也議員は棄権、造反した。ブログでは「茶番劇の問責決議」としたうえで、「理由なんてどうでも良いと言う馬鹿がいるが理由無しで、いちいち問責決議だすなら、そんなもの全く価値が無いから、出さないほうが余程ましだ」と痛烈に批判した。
野党7会派側では、「国民の生活が第一」の広野ただし副代表は「民自公の問責も色濃く含まれている」と発言。みんなの党の松田公太議員は問責決議の提出前、ツイッターで、「(野党7党の問責決議案に)自公が乗ったら、決議案理由の『増税反対』『3党談合反対』に乗ることに」と投稿していたが、その後実際に自民が賛成に回ったことから「朝、これを呟いた時は、まさか本当に乗って来るとは思いませんでした」と驚きを隠さなかった。
ツイッター上では「自民党、完全に意味不明」「無節操」「消費税に賛成しながら、消費税を理由に問責」など自民に対する厳しい見方が多い。今のところ「問責決議が重要、理由は二の次」というロジックは、あまり浸透していないようだ。