「『今の高齢者だけがやたら恵まれていて、現役世代は不幸だ』とは、一概にはいえないと考えられる」――こんな一文が書かれた、平成24年版厚生労働白書がネットユーザーの間で物議をかもしている。
現役世代は、年金受給などの面で親や祖父母の世代に比べると恵まれない、といわれているが、白書はそんな「世代間格差」を否定した形になっているからだ。
「親の扶養のための経済的負担は親の世代に比べて軽減されている」
白書は政府が2012年8月28日に閣議決定したもので、昨今注目を浴びる「社会保障」について多くの紙幅を費やしている。中でも話題を呼んでいるのは「高齢者は得をしているのか?」と「世代間の公平について考える」という2つのコラムだ。
前者では1940年代生まれの世代は年金を支払った額の約6.5倍も受け取るが、80年代以降の生まれだと2.3倍にとどまることを認めつつ、80年以降に生まれた世代は、社会保障制度により、「親の扶養のための経済的負担は親の世代に比べて軽減されている」ため、「『今の高齢者だけがやたら恵まれていて、現役世代は不幸だ』とは、一概にはいえないと考えられる」と結論づけている。
さらに後者では、現役世代は、
・前世代から引き継ぐ社会資本のストックから受ける恩恵
・教育や子育て支援に対する給付
・親からの1人当たりの相続財産
が現在の高齢者世代の若かった時代と比べて、増加している事実を指摘した。
相続する資産がない若者は一方的に払うだけ
これらが「親からの相続財産などが多くなっているから、社会保障の世代間格差は仕方ない」とも読めるような内容で2ちゃんなるなどで紹介されたため、現役世代が多くを占めるとされるネットユーザーからは
「相続してごらん、税金で殆ど残らないんだ」
「相続する資産がない若者は一方的に払うだけじゃん」
「一代で築いた金で何代も飯くわれたら、社会の成長力なくなるよ」
「何代も続かなくても当代がたくさん働いてたくさん金を得られる制度の方がいい。」
などと、違和感をとなえる声が多く上がっている。