居座ればブーイング必至
しかし、韓国勢の躍進や円高などもあって再び経営が悪化。リーマン・ショックも重なり、2009年には政府に産業活力再生特別措置法の認定を受け、300億円の公的資金が投入され、100億円の新規融資も実行されたが、進行する円高や半導体価格下落などから浮上できず、ついに今年2月には自力再建を断念、更生法を申請した。負債総額は約4400億円と製造業としては過去最大。政府による公的資金と融資の多くは回収されず、国民負担は最大で280億円に及ぶ。
スポンサーの米マイクロンは、坂本氏の処遇を決めかねていたようだ。スポンサーに複数が名乗りをあげるなか、管財人としてエルピーダがマイクロン傘下に入る道筋をつけてくれた人でもあるからだ。しかし、悪い言い方をすれば「借金を踏み倒して社長に居座る」ことに国内外の取引先からブーイングが起きるのは目に見えていた。坂本氏は、自ら身を引く意向を伝えることで再建を確実にしたいという思いがあると見られている。