日本テレビの「24時間テレビ」スタッフが、鹿児島県・屋久島の縄文杉周辺の立ち入り禁止場所でテントを張ったり撮影したりしていたと、現地ガイドがブログで批判している。立ち入りに法的な規制はないが、事実だとするとマナー違反になる。
右足が義足の高校3年女子生徒(17)が、あこがれの縄文杉を目指す――。24時間テレビでは、2日目最終日の2012年8月26日に、こんな企画を放送した。
義足の女子高生が登山するためキャンプ設営
この企画では、女子生徒は朝6時ごろに登山をスタートし、日没までに10.6キロの道のりを歩いて到着することを目指した。両手に杖を持ちながら、山岳ガイドやタレントらと歩き、途中からはロープを使って岩場に挑むまでした。しかし、9キロ過ぎのところで台風による雨風が強くなり、登山を断念している。
スタート時には、テレビのテロップで「今回の中継は屋久島の環境に細心の注意を払って行っています」とPRしていた。
ところが、屋久島に19年ほど前に移住し、縄文杉のガイドをしているという大久保昭二さん(54)がこの日のブログで、テレビスタッフを批判した。
その書き込みによると、スタッフらは縄文杉裏の立ち入り禁止場所でキャンプをしていた。縄文杉のある一帯は、国立公園になっており、世界遺産に登録されている。そこに、1週間で30人のスタッフが寝泊まりし、当日の26日は、80人超のスタッフや島のボランティアが出入りしていたという。
さらに、大久保さんは、「テレビを見る限り、登山道からは撮影できない立ち入り禁止の位置からのアングルの映像が映っていました」とも指摘している。現在、こうしたブログの記事は削除されているようだ。
環境省の九州地方環境事務所によると、縄文杉一帯でテントを張ったり立ち入ったりすることについて、法規制はない。
環境省が指導も、マナー違反止まり
しかし、鹿児島県などの関係機関でつくる山岳部利用対策協議会などで、登山道以外には立ち入らないとするマナーを定め、マナーガイドを作るなどしてPRしている。縄文杉の周囲にも、立ち入り禁止の注意書きを掲示している。
「土が踏み固められて土壌に水が浸透しにくくなり、植生に影響を与えることになるからです。ですから、縄文杉も植生保護用デッキなどから見学してもらっています」
テレビ局の撮影については、カメラなどの機材を置くための土台といった工作物を作る場合には、自然公園法上、許可が必要になる。
九州地方環境事務所によると、日本テレビからは2012年6月上旬に、土台は作らないものの縄文杉周辺で撮影したいと申し出があった。日テレ側はテントも設営したいとし、事務所では、避難小屋などが使えないなら、その周辺でのテント設置は認めた。
ところが、放送が近づいた8月20日過ぎになって、テントが離れすぎた場所にあるのが見つかり、日テレ側を一度指導した。それ以外については、特につかんでいないといい、ブログの内容については、今後現地に確認したいとしている。
ブログを書いた大久保昭二さんが指摘した立ち入り禁止場所のキャンプとは、環境省から指導されていたことを指すのか。また、登山道以外で撮影していたというのは本当なのか。
日テレの総合広報部に取材すると、「担当者が席を外しており、お答えできるか明言しかねます」との返事しか返ってこなかった。