丹羽大使公用車襲撃、闇の部分 普通の民間人にできる犯行なのか

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政治的に敏感な時期に「軍や警察を手なずける」ため

   もちろん犯人が「調子に乗った若者」だとしても、「逮捕されるのはイヤだが、目立ってチヤホヤされたい」と考えて日の丸引き抜きだけで自制したのかもしれない。だが安田氏が「仕込み説」を唱えるのは、過去に起きた類似の事例がいずれも「当局がらみ」と見ているためだ。

   2008年4月、中国ではフランスに対する抗議デモが起きた。北京五輪を控え、パリでの聖火リレーが中国の人権弾圧に抗議する団体に妨害されたことに若者が反発したのだ。フランス国旗に侮辱的な言葉を書き込んでデモ隊が行進したり、国旗を燃やしたりした場面もあったという。

   国内では2010年9月、中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突して船長が逮捕された直後に、中国河北省で日本人の会社員4人が「軍事管理区域に無断で入り、撮影した」として拘束された。その後全員が解放されたものの、普段は撮影画像の消去や罰金程度で済む問題が、4人中1人が半月以上も帰国を許されないなど厳しい態度をとった背景には、日本の姿勢に対する中国側の「意図」が見え隠れする。

   だが、日本から非難されるのを分かっていながら中国の政府関係者がこのような「仕込み」をするメリットがあるだろうか。安田氏は、中国国内の現在の政治事情が関係しているのではと話す。今秋に指導部の交代を控えており、現在は政治的に敏感な時期。「軍や警察を手なずけるうえで分かりやすいのは、対外強硬姿勢を示す方法」(安田氏)であり、そのために当局の一部の勢力が動いたか、暴走したかの可能性は無視できない、と言う。

   日本側は、国旗を引き抜いた男性の顔や車のナンバープレートを撮影し、北京市公安局に提出した。犯人の特定につながる情報で、中国政府も真剣に対応しているとアピールするが、安田氏はその「本気度」に懐疑的だ。「どうしても犯人を捕まえなければいけない状況となれば、その時は全く関係ない他人を『身代わり』として出してくるかもしれません。そういうことは『中国ではよくあること』ですからね」。

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