消費者の利便に配慮すべき
経営破綻したものの、公的資金を得て急速に業績を改善している日航に対し、全日空などの不満は高まっている。「自助努力で健全な経営をしている同業者にとって、公正・公平な競争環境であるとはいえない」と懸念しているためだ。衆院国交委員会では8月、自民党などの要望を受けて日航の再建問題に関する集中審議が2度も開かれ、公正な競争環境を築く必要性が議論された。
発着枠配分に関する全日空などの主張はこうした流れの一環で、「新たな発着枠は日航以外に傾斜配分して、競争環境のゆがみを緩和すべきだ」との考えが背景にある。
ただ、傾斜配分については否定的な声も少なくない。「行政が裁量的に判断すれば、政治や行政が経営に介入したことが破綻の一因になった、かつての日航と同じになってしまう」(業界関係者)との見方もあるためだ。「発着枠の配分はあくまで消費者の利便に配慮した合理的な判断で決めるべき」(同)との指摘も強い。