「目の付けどころ」が鋭い! 生き物の「生体模倣」で新製品開発

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ナノ単位の技術進歩で拍車

   LIXIL(リクシル、旧住生活グループ)は、カタツムリの殻の表面に何本も走る幅数百ナノメートル(1ナノは10億分の1)の溝に、水がたまって油をはじく仕組みを活用し、建物の外壁の表面にナノレベルの薄い水の膜を張って汚れにくくする「ナノ親水」を開発。傘や防水服に使われる帝人ファイバーの撥水生地はハスの葉の表面の凸凹を再現し、水をはじく。

   三菱レイヨンは、夜行性の蛾の目の中に数百ナノメートルの規則的な突起が並び、光を屈折させて反射を防いでいる仕組みを、液晶テレビや携帯電話などの反射防止フィルムに応用。日東電工は、直径0.2マイクロメートル(1マイクロは100万分の1)の無数の毛が生えているヤモリの足裏の吸いつきを参考に、ナノメートル単位の毛を持つ粘着剤を使わない粘着シートを開発したほか、関西大システム理工学部(大阪府吹田市)の青柳誠司教授(メカトロニクス学)のチームは、蚊の口のように表面をギザギザに加工し、採血時の痛みを軽減する注射針の研究を進め、医療機器ベンチャーのライトニックス(兵庫県西宮市)が製品開発し、来春にも海外で発売するという。

   日本ペイントは、マグロの皮膚が海水と摩擦が起きにくい仕組みを参考に、燃費を向上させる船舶用塗料を製品化。大きいものでは、欧州のエアバス社が、A380を開発した際、ワシの翼の先のように先を上方にちょっと曲げることで浮力を保ちながら翼を短くすることに成功した――といった具合だ。

   古くは絹の構造をまねたナイロン、音波で障害物やえさを感知する蝙蝠を参考にした船舶用ソナーも、バイオミミクリーの「古典」といえるが、最近は、電子顕微鏡に代表されるナノ単位の技術の進歩で、バイオミミクリーも新たなステージに登っており、新たな製品が今後も続々と登場しそうだ。

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