韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領が竹島(韓国名・独島)に上陸し、尖閣諸島に香港の活動家が不法上陸するなどの領土をめぐるトラブルが相次いでいることを受け、野田佳彦首相は2012年8月24日夕方会見を開き、「主張に違いがあっても、お互いに冷静に対応すべき」などと韓国側に呼びかけ、国際司法裁判所(ICJ)への提訴に応じるように改めて求めた。
首相が領土問題に関連して会見を開くのは極めて異例だ。
韓国政府の一方的な占拠という行為
野田首相は、会見冒頭に、
「今月に入ってから、我が国の周辺海域において、我が国の主権に関わる事案が相次いで起こっており、誠に遺憾の極み」
と強い調子で韓国や香港の活動家の不快感を示し、過去の経緯を振り返りながら、改めて竹島の領有権を主張。その上で、
「竹島の問題は、歴史認識の文脈で論じるべき問題ではない。戦後の、韓国政府の一方的な占拠という行為が、国際社会の法と正義にかなうのか、という問題。韓国側にも言い分はあるだろうが、自国の考える正義を一方的に訴えるだけでは、立場が異なる2つの国の間で建設的な議論は進まない。国際社会の法と正義に照らして、ICJの法廷で議論を戦わせ、決着をつけるのが王道であるはず」
と、改めてICJという「第三者の目」による判断を仰ぐように求めた。その上で、
「主張に違いがあっても、お互いに冷静に対応すべき。基本的な外交儀礼まで失するような言動や行動はお互いを傷つけ合うだけで、建設的な結果を生み出さない」
と、親書が送り返された問題を引き合いに出しながら、冷静な対応を求めた。