国内の酪農を守る
そもそも、なぜバターは国家貿易なのか。それはバターと脱脂粉乳は水を加えると、ほぼ牛乳と同じ成分に戻り、加工乳として利用できるからだという。言うまでもなく、牛乳からバターの成分となる油脂分を除いたのが脱脂粉乳だ。海外から安価なバターと脱脂粉乳が無制限に輸入され、乳製品の原料となると、国内の酪農が打撃を受けることになる。
同じ乳製品でもチーズは牛乳に戻せないため、バターや脱脂粉乳に比べれば輸入は緩やかになっている。もちろんチーズにも高関税がかかっているが、バターほどではなく、実際にチーズは多くの民間業者が輸入し、様々な銘柄がスーパーなどに並んでいる。バターも、ヨーロッパなど海外産は独特の味を好むファンも多いが、コメや小麦などと並ぶ政府管理の国家貿易である限り、国内の店頭に多様な製品が並び、消費者が好みに応じて選ぶことはできそうもない。