尖閣諸島に上陸した中国・香港の活動家の1人が中国旗を焼いていたとされる過去の写真がネット上にアップされ、中国でも騒ぎになっている。
白ヒゲをたくわえた初老の男性が、中国旗のように見える赤い旗を群衆の前で火にかざしている。中国の大手検索サイト「百度(バイドゥ)」の掲示板に2012年8月18日ごろ投稿された写真だ。
反日であるとともに、反中国共産党
投稿によると、この写真の男性は、尖閣上陸を果たした「古思堯」という名の活動家男性(66)だという。投稿では同時に、尖閣上陸を企てたときの写真も載せてあり、「いわゆる英雄なのか?」と皮肉っている。
この男性は、尖閣上陸に当たっては、中国旗を立てたはずなのに、行動が矛盾しているのではないかということだ。
写真は、はっきり分からないが、手錠で五輪のマークをあしらったようなTシャツを着ていることから、4年前の北京五輪のときに撮られたものとみられる。このときは、中国政府のチベット弾圧へのデモが世界的に頻発し、香港でも人権状況改善などを求める民主派の動きが活発になっていた。
報道によると、活動家男性が所属する「保釣行動委員会」のメンバーは、もともと中国共産党とは敵対的な立場で、香港の民主化を強く求めていた。1998年に当時の江沢民国家主席が香港を訪れたときは、メンバーが抗議デモを起こして逮捕されている。また、2012年6月には、不審な死を迎えた民主活動家の死因究明を求める動きも見せている。
もっとも、保釣行動委員会が96年に設立されたときは、尖閣(中国名・釣魚島)の防衛を主目的としていた。いわば、反日であるとともに、反中国共産党の立場でもあったわけだ。とすると、活動家男性が中国旗を焼いたとしても、必ずしも矛盾しているとは言えないことになる。
とはいえ、裏ではまったく別の顔があるらしい。
裏では、中国政府と関わり合い
活動家男性らは実は、中国政府と関わり合いを持つようになったのではないかということだ。
報道によると、保釣行動委員会には、中国の国政に助言する機関「中国人民政治協商会議」の委員をしている親中派の実業家男性から多額の資金援助がなされていた。2012年8月19日放送のテレ朝系「報ステSUNDAY」によると、実業家が中国政府の関係閣僚に活動家の尖閣上陸について聞いたところ、この閣僚は「行かせてやれよ」と答えたという。
また、この日放送のフジテレビ系「新報道2001」では、保釣行動委員会のメンバーが5月、尖閣上陸を目指す台湾の会合に参加したところ、中国政府から出国許可をもらった大陸の活動家もいたことを紹介した。中国政府の寛容な態度の背景には、石原慎太郎東京都知事の尖閣購入発言や日本政府の国有化方針などを受けて、中国政府が政策を変えたことがあるとみられている。
活動家を巡るこうした動きについて、日本のネット上では、「このおっさんには信念無さそうだなw」「意味がわからん」「お金になれば何でもやるんだろ」と冷めた声が上がっていた。中国政府についても、「目的の為ならば、本来ならば敵のはずの民主活動家だって使うあたり したたかな中国のやり口」といった指摘が出ている。