「あなたの国籍はどこなのか」
複数の韓国メディアによると、趙会長は、韓国の五輪委員会である大韓体育会(KOC)の朴容晟と相談し、FIFAが「事件」の当事者である朴鍾佑選手の調査に着手したこともあって「JOCとの関係を維持するために」書簡を送ったのだという。ただし委員会の席でも「謝罪ではなく経緯の説明」と従来の弁解を繰り返した。
だが議員側は収まらない。「朴選手の行為は五輪憲章違反ではないのに、日本側に低姿勢である必要があるのか」「反スポーツ的、と言ってしまうと我々が誤っていたことを認めることになる」などと問い詰め、趙会長に対して「あなたの国籍はどこなのか」とまるで裏切り者扱いだ。趙会長は「騒動を起こして申し訳ない」と議員にわびたうえ、時期が来れば責任をとる可能性を示唆した。
インターネット上でも、趙会長への批判が並ぶ。ツイッターを見ると「『独島セレモニー』のどこがスポーツ精神に反しているんだ」「親日派(の会長)は今すぐ辞任しろ」「魂の抜けたゴミみたいなヤツ」と、ハングルの書き込みは手厳しい。
KFAは、その「独島セレモニー」について「五輪で銅メダルという韓国サッカー史上初の快挙となったことで有頂天となったがゆえのハプニング」と書簡で釈明し、朴選手から銅メダルがはく奪されるのを何とか防ぎたい様子だ。必死さは、8月16日にKFAの事務総長が経緯を説明しようとスイス・チューリヒにあるFIFA本部をいわゆる「アポなし」で訪問した事実からも伝わってくる。だが事前の約束を取りつけていなかったため、朴選手の件を調査している規律委員会のメンバーは全員不在だったという。事務総長は「FIFAの職員に直接説明した」と話したが、勇み足だった印象はぬぐえない。9月中旬までにはFIFAから何らかの調査結果が出る模様だが、電撃訪問の効果が期待できるかどうかは不明だ。