「米国は魔女狩りを断念すべきだ」 アサンジ代表バルコニーで訴える

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   在英エクアドル大使館に缶詰になっているウィキリークス創設者のジュリアン・アサンジ代表は、2012年8月19日午後にロンドン市内にある同大使館のバルコニーに姿を現し、街頭に集まった支持者や取材陣に向かって声明文を読み上げ、米政府のウィキリークスに対する「魔女狩り」を止めるように訴えた。

   アサンジは8月16日にエクアドルから政治亡命を認められたが、英国政府は同氏が大使館が入居している建物から一歩でも外に出れば直ちに身柄を拘束すると警告し、いわば軟禁状態になっている。当初は建物の玄関前でスピーチをするとの噂もあったが、当局との衝突を避け、建物の一部であるバルコニーに収まったようだ。

   「オバマ大統領が正しいことをするようにお願いする」とアサンジは米大統領を名指しにして訴えた。「米国はウィキリークスに対する魔女狩りを断念すべきだ。米国は我々のスタッフや支持者を起訴すべきでない。米政府の対ウィッスルブロワー(内部告発者)戦争は終結せねばならない」

   ウィキリークスは、2010年10月にイラク戦争の米軍機密文書約40万点を同サイトで公開。その翌月には米外交機密文書約25万点を公開し始めた。その漏えい容疑者とされるブラッドリー・マニング上等兵は逮捕され、現在独房に監禁されている。

エクアドル政府は国際司法裁判所に調停を求めることも検討

   「もしブラッドリー・マニングが訴えどおりの行為をしたとすれば、彼は英雄だ。彼は我々の鑑であり、世界で有数の政治犯である。ブラッドリーは釈放されるべきだ」とアサンジは支持者に語った。

   英政府は「外交的亡命」を認めておらず、アサンジの出国を断固阻止すると表明している。中南米諸国の外相は、8月24日にワシントンに集まり解決策を協議する予定だ。一方、当事者であるエクアドル政府は、事態の打開に向けて国際司法裁判所(本部:オランダのハーグ)に調停を求めることも検討していると伝えられる。

   いずれにしても、アサンジはレイプ容疑で出頭を求められているスウェーデンに移送されるのか(アサンジはスウェーデンから米国に移送されることを恐れている)、それとも希望通りにエクアドルへの亡命が実現するのか、反英・反米感情なども絡み舞台裏での駆け引きが活発になりそうだ。

(在米ジャーナリスト 石川 幸憲)

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