日中両政府は2012年8月8日、両国の航空会社が航空路線や便数を自由に設定できる「航空自由化(オープンスカイ)協定」の締結で合意したと発表した。2007年に協定締結に向けて協議を開始、尖閣諸島沖漁船衝突事件などのあおりで一時、交渉が中断するなど紆余曲折があったが、昨年12月と今年5月の日中首脳会談を経てようやく合意にこぎ着けた。
羽田、成田は除外
国際線の航空路線や便数は従来、政府間交渉で決められていた。それを民間の航空会社が自由に決められるようにする2国間協定がオープンスカイだ。各航空会社は、需要があり、採算がとれると判断すれば、自由に路線を開設したり、増便を決めることができる。
今回の日中の協定では、「発着枠に余裕がない」として、日本の成田、羽田両空港、中国の北京、上海両空港の計4空港は対象にしなかった。しかし、両政府は「4空港についても今後、自由化の検討を続ける」との方針では一致。4空港が除外されたとはいえ、中部や関西国際空港など日本の有力な地方空港と、中国の広州や成都などの大都市の空港は対象に含まれる。
中国の経済発展に伴い、日中間のビジネスや観光需要は年々膨らんでおり、新たな路線の開設や増便の動きが広がる可能性は高い。国土交通省も「需要は相当伸びていくだろう」と見ており、全日本空輸など国内航空各社はさっそく路線開設などの検討を始めた。