法的には黙認状態になっている
日本では「自動車リサイクル法」が2005年1月から施行され、解体業者には対して一定期間内で処理し、破砕業者に引き渡すことが決められている。関連業界では原発事故直後から自動車の汚染と業界自主基準の狭間で、自動車スクラップの流通が困難になることが指摘されてきたのだが、行政の具体策が示されないまま推移し、問題が顕在化してきた。今のところ、放射線問題で処理が進まず、解体業者に滞留している自動車スクラップに関して法的には黙認状態になっている。
2~3カ月前に全国の港湾で放射線レベルの高い中古車が荷受け拒否され、輸出できずに荷主が持ち帰ったといった事態が話題になったが、問題の構造は同じだ。港湾業者が定めた時間当たり0.3マイクロシーベルトという自主基準が壁になった。
輸出手続き不可ということは、汚染を世界に広げない意味があるが、輸出業者が持ち帰った中古車がどうなったかは気にかかる。東京電力は輸出できなくなった中古車に対する損害賠償を認めているが、手続きが面倒で積極的に利用する業者は少ない。仮に福島県から遠く離れた場所で、格安な中古車として売られていたとしたら汚染の拡散につながっていく可能性はある。