ルノーが先行、日産は歓迎
メーカーの動きはある。日産自動車は資本提携先の仏ルノーが「街乗り」と称するEV「ニューモビリティコンセプト」を開発済みだが、これがちょうど日本の超小型車の規格にあてはまる見込みだ。このため日産は日本の制度改正に合わせて国内への導入を検討中だ。EVは日産にとって世界をリードできる分野だけに新規格誕生は歓迎、というわけだ。
トヨタ自動車もグループのトヨタ車体が昨年販売終了したEV「コムス」を今年7月に全面改良し、販売を再開した。コムスは1人乗りで原付きに区分されるが、業務用を含めた超小型EVに一定の需要が見込めると判断した。実際、セブン-イレブン・ジャパンは7月末から宅配事業にコムスを使い始めた。
ただ、普及に向けた課題は多い。一つは安全性。高速道路は不可の方向だが、一般の公道でも高齢者が超小型車でノロノロと走ることになれば、渋滞の原因になるだけでなく、事故の発生増は容易に予想できる。実際、超小型車先進国フランスのパリ市内では交通事故が問題になっているという。また、普及には軽自動車より相当に価格を抑える必要があるが、「需要が読めないなかで低価格を実現するための量産には踏み込めない」(あるメーカー)との声も。このため国交省の思惑通りには進みそうにないと見る関係者は少なくない。